〜第2章〜続き

 「俺に協力してくれる気になった?」

「でも、私は...」

「警察に協力してるから無理とか言わないよね?本当はこんな力なければいいのにとか、ただ辛くなるだけとか考えてない?」

その時、彼の後ろから物音がした。

「深藍さーん、いますかー?おーい。」

薄浅葱さんの声だ。彼に慌てる様子はない。

「あっ深藍さんと...白縹!?何でこんなところに。」

「警察か。こいつの気持ち考えたことあるのか?我慢してまで協力して。大変なのお前たちは分かっているのか?」

「そこまで言わなくても。さっきも言ったように私が我慢すれば...」

「だから、それがダメだって言ってるだよ。本当に思っていることが言えなくなるだけだ。」

何故だろう。彼は言葉が見えているわけではないのに、私が思っていること何でも分かっているみたいに話している。

「深藍さんを離してください。彼女がその力を持っていても使わなかったらもったいないでしょ?少しぐらい我慢してもらわなければ。」

「おい、お前はどうなんだ?本当のこと言えよ。」

「私はただ人の役に立ちたかっただけです。でも、そのことで自分が我慢するのは嫌でした。誰にも分かってくれないこの力のせいで嫌われて...」

「遥!俺はそんなこと思ってなかった。俺ずっとお前が...」

「それ以上言わないで。何もわからないくせに。」

言ってしまった。綾斗は私のことを思って言ってくれていたのに。彼の息が切れている。走って来てくれたんだ。

 「ごめん...。そうだよね。お前がどれだけ辛いのかわからない。でも、俺は少しでも理解しようとした。それだけは分かって欲しい。」

「うん。ありがとう。」

白縹が話を切り出した。

「それで?君ははどうするんだ?俺は警察のところ行かないといけない。だが、俺の仲間のところには連れて行ける。それとも、こいつらといるか?」

「考えさせてください。」

「なら、こいつを渡しておく。」

そう言って彼は私にメモを渡した。そこには誰かの電話番号が書かれていた。

「もし行くならそこに電話しろ。」

そして彼は薄浅葱さんのところへ自分から行った。

「遥...。」

「ごめん、今は一人にして。」

そうして私はその場を後にした。


 2週間後。私は白縹からもらったメモに書いてある電話番号に電話した。

『これに電話ができるということは君が例の子かな?』

「えっと...。」

『ごめんごめん。俺は白縹の同僚、|神楽(かぐら)だ。俺も君と同じだ。心配しないで欲しい。今から迎えに行ってもいいかな?』

「はい。」

『それじゃ1時間後に着くからよろしく。」

そして電話が切れて。私は綾斗にメールをした。

『綾斗へ

いきなりメールでごめん。何も言わないで別れること、許してください。これから何をするのかも、どこに行くのかも。それから、私を探さないで。綾斗はちゃんと勉強して仕事してください。でも、必ずまた会えることを信じて5年後よく行ったあの場所で。約束の日までさよなら。』

そして、送信した。

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