第七話 著作権って色々難しいよね、無視しちゃおう。

「もしかしてまだ校内にいたりしないかな?」

「えぇ、いないと思うけどな?あいつ学校に来るだけでホームシックになるようなやつだぞ?」

「それは……酷いね」

とりあえず、翠がどうしてもと言うので、一応校内を見て回ることにした。

全員で行くのもあれなので、俺と翠の二人、小岩井先輩と桃花には機材を見ててもらえるよう視聴覚室にお留守番してもらった。

「さて、そう言えば説明してなかったよな、今回創るアニメの話」

「うん、そうしてもらえるといいな」

「わかった、なら、移動しながら教えるな?」

今回俺達の創るアニメは同人アニメーション。

冬コミに出すつもりでいるし当然売上だってどこにも負けたくない気持ちだってある。

それに今回のアニメ創りにはとある大きな理由が関わっている………それは。

「えっ、宮崎ちゃんが!?」

「あぁ、あいつ小説家も結構反対されててさ、ちゃんと食っていけるかわからない職業だからな……そしたらあいつの両親が『アニメ化されるくらい有名な作品を手がけて、ちゃんと食っていけることを証明しなさい……ただし、期限は今年いっぱい』……ってな?」

「すごく急な話だね……だから、蓮君すごく協力的なんだね?」

「いや、まぁ……それもあるけど、俺大体あいつの頼み事とかは聞いてる方なんだぞ?」

確かに、宮崎という才能が失われることは業界において大きな打撃になるだろう。

俺もあいつの作品は大好きだ、どんなに読み返しても飽きがこないし、むしろ読む手を止める事の方が難しいと言っても過言ではない、そんなあいつは通称『才能の化け物』と呼ばれている。

ただ、今回俺が協力したのはそんな事が理由なのではなく、ただ単に、あいつが悲しむ顔を見たくなかったのだ。

「今回創るアニメはアニメーションの大手会社が見に来てくれる、だから失敗することなんてできないんだ」

「宮崎ちゃん……そんなに大変な中あんなに笑って私達に気を使ってくれてたんだ……」

「あぁ、だから俺達の手で宮崎の事を救ってやろうぜ!」

「うん!えいえいおーだね!」





「うーーーーーーん」

私宮崎いろはは一人屋上にて唸り声をあげながら悩んでいた。

「アニメ脚本って難し過ぎない?元は私の作品とは言え、それの監修とアニメのために短縮させるのって今までやったことなかったから難しいわ……」

今後アニメ化するかもよ!って担当さんは言ってたけど、正直宛てにならないし………。

「こんなことならしっかり勉強しとけばよかったかな?あ、そういえば蓮太は予習しとくって言ってたっけ!」

昨日の今日ですぐ頼るのは忍びないけど……この際仕方ないよね?と私はスマホを操作していく。

蓮太蓮太……っと、あった!

「もしもし蓮太?!ごめん!ちょっといい?」

『お掛けになった電話は現在……』

「あ、そういうのはいいです」

『え?あ、そう?んで、なに?』

「んとね、あんた確か、アニメーション関係の勉強しててくれてたんだよね?」

『まぁ、そうだけど?』

利用しようとしている私の雰囲気が滲み出ていたのだろうか?返答が適当すぎる……いや!利用しようとか思ってないからね!

誰がそんなワンピースの映画に出てきたラチェットみたいなことするか!

「ちょっと屋上来てくれない?」

『告白でもされるの?』

「馬鹿言わないの!………したらオーケーくれるの?」

『馬鹿なこと言わないの……ちょっと待っててくれすぐ行く』

「はいはい」

ツーツーと音を耳に残して通話を終了した事を私に告げたスマホは、なんだか少し寂しそうだった。

「諦められないなら……いつかは……伝えなきゃなのに」

そんな誰に向けたわけでもない独り言をポツンと呟いた私は一人作業紙に向き直った……なんか表現おかしいな?



               ×××



「だーかーらっ!これはアニメなんだからモザイク入れろって!」

「ばかね!ハイスクールD×Dだってモザイクかけてないじゃない!」

「お前が見たのはОVAだからだ馬鹿野郎!普段はちゃんとモザイクかけてるわ!」

今俺と宮崎の意見は完全に分かれてしまっていた。

議論はこうだ、『私たちの創るアニメにモザイクは必要なのか必要じゃないのか……恋と嘘なかなか新刊でないね?』だ。

「いや、ここでムサヲ先生出す必要あった?」

「あるよ、これ見て頑張ってほしいし」

「頑張ってほしい云々の前にムサヲ先生にプレッシャーかけてるけど?!」

「やればできる子よ」

「上から目線だなおい」

「とりあえず私の書いた作品読んでくれる?」

「え?」

こいつの作品はひとつ残らずちゃんと購入して読んでいるため、今更読む必要などはない気がするのだが……。

「新作ってことか?」

「そそ、アニメ作りのためだけに作ったの!」

「へぇ……」

「タイトルは『やはり俺のご注文はエロマンガ諸島』よ!」

「色々ぶち込んできたぁぁぁぁぁぁ」


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