第六話 キャラ崩壊したら妄想オチ……小説家ってずるいよね?
私……先輩の事!!
「って事になってないかなぁ?」
「勝手に想像するなぁ!」
「うわ、もう帰ってきてたの?」
今さっきの部分は嘘だらけなので、私が訂正を入れておくと、売店へ行った私は確かに先輩に会った。
だが、しかし、相も変わらず先輩は私から話しかけられるまで視認することはなかった。
全くもう……全くもうですよ、全くもう!!
「ごめん!悪気はなかったんだよ?」
「悪気しかないじゃない!!」
「もう、気にしない気にしない!それよりジュース!ジュースは?」
「渡さないでおこうかな?」
「すいませんでしたぁぁぁ!!私が悪かったでございますぅぅ!」
ジュースが賭けられた途端謝り方がガチになったA子ちゃん……。
「こうする前にきちんと謝ること出来なかったの?」
「先輩の前で皮をかぶってる狼少女に言われたくな………」
「うん?」
「いえ、なんでもないです……」
「そう?ほら次移動授業だからさっさと移動しちゃお」
「ちょっと待って!ジュース一口だけ……なんでカップジュース買ってきたの!!?」
×××
チャイムの音、それは私達の耳に優しく残る優しいメロディー……まぁ、チャイムがそう感じるのはこれが下校のチャイムだからだおうか?心がぴょんぴょんします。
私はいつもの待ち合わせ場所であるグラウンド隅の鉄棒のある場所へと向かった。
「とうちゃーく!ってあれ?私が一番?」
てっきり蓮太先輩が先に来ていると思っていたので、私は少しだけびっくりしてしまっていた。
するとその後程なくして南沢翠先輩が来た。
「あ、桃花ちゃん!お久しぶりだね」
「先輩!どうしたんですか?どうしてここに………」
「えっと、桃花ちゃんとおんなじ理由かな?」
「もしかして先輩も部活に……?」
「うん、出来ることなんてないと思うけどね?」
「そんな事ないですよ!いてくれるだけで嬉しいです!」
心からの本音だった、多分この人がいないとこの部活に癒しなんてないのではないだろうか?
「そ、そっか……あ、そう言えばそろそろ小岩井先輩が来ると思うよ?」
「あれ?でも確か先輩は部活のメンバーじゃないんですよね?」
「うん、ただ今日から入って貰えるように蓮君が頼んでてね?なんでも、先輩の映像技術があればアニメーションは更なる進化をするとか何とか……」
「進化……」
先輩はなんだかんだ言ってみや先輩立案のアニメ作りを楽しんでいるのだと思う。
昨日もなんとかプロダクションに電話してなにやら難しい話をしていた……に引き換えみや先輩はあの後もおやつを食べて脚本と書かれたノートに落書きばかりしていた。(つまり、脚本はまだできていない………と)
「おーい」
「あ、蓮君、先輩は?一緒じゃないの?」
「あれ、まだ来てないのか?先に行くって言ってたんだけどな」
「んー……パソコン室とか?」
「あ、そうかもな、昨日頼んだ機材もう届いてるって言ってたし、それを取りに行ったのかも」
「機材?なんですかそれ」
空気扱いされることを覚悟して私が聞くと、蓮太先輩は、きちんと私の眼を見て答えてくれた。
「あぁ、ほら映像編集とかに使う機材をもろもろ注文してな?あ、部費とかじゃなくて、俺達先輩陣(作家&クリエイター)で出しておいたから後で請求とかにきたりはしないからさ」
「は、はい!大変だったんじゃないんですか?」
「ま、まぁ…痛い出費ではあったんだけどな……」
「だ、大丈夫ですか?」
「桃花ちゃん、蓮君に任せてあげて?大丈夫、蓮君は誰かが望んでいる限り、なんだってやってのけるんだから!」
「へ、へぇ……信頼されてるんですね?」
「うん、蓮君は失敗する時はもっと手遅れなことしでかすから、まだ今のところは信じてあげていいよ」
「あはは……」
それって大丈夫じゃないってことじゃ……と言いたくなる気持ちを堪えて、私は蓮太先輩に一つ提案することにした。
「なら、一人じゃ運べないかもしれませんし、迎えに行きませんか?」
「んー、そうだな……あの人なら余裕かもだけど、一応行ってみるか?」
「はい!私も手伝いたいです!」
「いや、マジで俺達はいらないかもだけどな?」
「?」
何を言っているのかわからない……そんな私は驚愕の光景を目撃することとなる。
それは、パソコン他機材を片手で持ち運ぶ小岩井轡先輩の姿だった……それも、腕を頭上で掲げるというとても常人には不可能な形で……だ。
え、あれホントに人間?バケモノの子じゃないの!?
「ごめんなさいね、心配かけちゃったみたいね?」
「いえ、俺たちこそいくら先輩が楽々持ってこれる量だと知っていても、ちゃんと迎えに行くべきでした」
「いいえ、不要よ、私一人で大丈夫だから今度からそうして頂戴」
「いや、あんた力発揮してる時は知能が著しく低下するから校内ですら迷子になるじゃないですか」
「馬鹿にしないで頂戴、私はただこっちかしら?あっちかしら?と悩んでいただけよ」
「それを迷ってるって言うんです、いい加減気付いてください」
ここからは、俺に戻ります、ただいま。
先輩はいつも自身の置かれている状況の理解があまりよろしくないのだ、この間も、俺と一緒に買い物(機材)に行った時、俺が店員と話していて眼を離した隙に先輩の姿は無きものとなっていて、挙句の果てには俺が迷子とか言い出して迷子センターにアナウンスしてもらいやがった……ほんとふざけんな。
「それより先輩、今日宮崎から連絡来てませんか?」
「宮崎さん?来てないわよ」
「んー…今日来ないのかな?」
「あの人ここの部活のリーダーでしょう?そんな風でいいの?」
「なんというか、あいつ脚本もろくにかけてなくて、だからここにいるより家で集中して書けってことで書けるまでは家に帰ることを許可してるんですが、一応連絡入れろって言ってたんです」
「なるほど……だからさっきみたいな質問が出たというわけね?」
「はい、でも連絡ないなんて約束を破ることが滅多にないあいつにしては………」
「一応あるのね………破られた事」
一回どころじゃなく何回もある……ただ、今回のように自分から言い出した事を投げ出すような事はしない奴だ。
なにかやむを得ない事情、もしくは相当な理由で来れない理由を連絡できないのだろうか?……あ、この二つ大して意味変わらんな。
「ねぇ、蓮君」
「なんだよ、翠」
「もしかしてまだ校内にいたりしないかな?」
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