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「な、なによ。別に私、悪いことなんてして「そうだよしてねぇよ」

「え?」

「悪い事なんかしてない。でもな、志麻ちゃんは女の子でしょ」

 そう、父親と一緒で正義感の強い女の子。でも、女の子なんだ。

「考えもなしにこんなことしちゃダメだ」

「・・・だって」

「悪いのはアイツらだって分かっているけど、ちゃんと危機管理能力は持って。複数の男に、志麻ちゃんは力で勝てないでしょ?」

「・・・」

「子供のことで怒った志麻ちゃんは素敵だと思う。でもね、君が傷ついたらご両親が悲しむ。行動の先に何が待っているのか、ちゃんと考えてから動くようにしてね」

 胸の靄を吐き切るように言い終えると、俯いていた志麻の肩が小さく震えた。

「・・・なさい」

 分かってくれたのなら良いんだけど。この子は頭が良いから、次はもうないって信じたい。男女の体格差は、本当に想像以上に違うものだから。志麻みたいな女の子は、男の力で簡単に組み伏せてしまえる。

「分かってくれたんならいいんだよ、よく頑張ったね。怖かったでしょう」

「ん」

「ほら、店に入って。何か温かいものでも作ってあげるから」

 支えた背中に微かな恐怖が感じ取れた。強がっていてもまだ十九歳。そりゃ怖いわけないわな。

 この経験を今度は自分のことを第一に考えながら行動してほしい。そうじゃなきゃ常盤さんが、あ、これ俺後で常盤さんに何か言われるパターンかも・・・? まぁ俺の場合は別にいいんだけどさ。

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