82 一人で戦わなくて良い世界「アベンジャーズ」。
4月29日に「アベンジャーズ エンドゲーム」を見てきました。
三時間ある今作を見るためには朝から動く必要がある、と考えていたのですが、結局は昼の十二時半からのを見ました。
個人的に泣き過ぎて目が痛くなる、という体験を映画館でしたのは初めてでした。今はまだネタバレ自粛期間なので、何も言いませんが、それが過ぎたら存分に語りたいと思います。
今回は僕がアベンジャーズにハマった理由なんかを書きたいと思います。
きっかけは、度々名前を出している倉木さとしの勧めでした。
倉木さとしは結構遠くに住んでいて僕は毎年、連休を取って彼のもとまで遊びに行っていました。そこでの会話でアベンジャーズの話が出たのが最初だったと記憶しています。
――小説より映画をよく観る倉木です。
というのが倉木さとしのインプット方法で、あらゆる映画を見ているのですが、その中の一つでアメコミもあったようです。
ちなみに倉木さとしは仮面ライダーも好きで、アベンジャーズを平成ライダーと重ねる感想があるのを思うと、彼がアベンジャーズにハマるのは必然だったのでしょう。
アベンジャーズシリーズはMCUとも呼ばれています。
MCU――マーベル・シネマティック・ユニバース。
マーベル・スタジオが制作するスーパーヒーロー映画作品が共有する架空の世界、及び作品群の総称だそうです。
ここではアベンジャーズシリーズで推し進めたいと思います。
僕がアベンジャーズシリーズを知ったのは倉木さとしで、彼の中で勧めてきた時の印象として残っているのは「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」でした。
シビル・ウォーはキャプテン・アメリカの三作目にあたり、アベンジャーズシリーズのフェイズ的には3。
「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン(アベンジャーズ2)」が終わってからの話で、キャッチコピーは
「友情が、友情を引き裂く――」
です。
倉木さとしが面白がった部分もここにあったように思います。シリーズものの面白さとして、積み上げられた積木を如何に崩すかがあります。
シビル・ウォーはシリーズ13作品目。
いろんなヒーローが登場し活躍する中、そのヒーローを二つ(正確には三つ)に分断された作品です。
そして、その分断された彼らが一つの敵を前にして集まるのが、「アベンジャーズ インフィニティ―・ウォー(アベンジャーズ3)」です。インフィニティ―・ウォーの続編が今回のエンドゲームなので、シビル・ウォーから起きた分断が今作によってようやく集約しました。
何を書いてもネタバレになる気がしますが、シビル・ウォー以前のあらゆる問題をも、エンドゲームは昇華したように思えました。
ただ、シビル・ウォーが最もアイアンマンのトニー・スタークやキャプテン・アメリカのスティーブ・ロジャースの問題を浮き彫りにさせた優れた一作だったのは間違いありません。
つまり、アベンジャーズシリーズの前半はシビル・ウォーを成立する為にあったと言えます。そして、シビル・ウォーで浮き彫りになった問題が一つの解を出す物語が、エンドゲームでした。
全ての起点となっているのが、シビル・ウォーであり「友情が、友情を引き裂く――」だったのだと僕は考えています。
安易な物言いを許してもらえるのなら、アベンジャーズは友情の物語でした。
それは言い換えれば、アベンジャーズというヒーローたちの新しいコミュニティーの誕生から、決裂、そして再結成までの物語とも捉えられます。
ちなみにアベンジャーズの「アベンジ」の意味を調べると、以下のように出てきました。
――アベンジ(avenge)[名](スル)復讐すること。報復すること。【補説】リベンジが個人的な理由による復讐であるのに対し、アベンジは正義感による悪への報復という意味合いをもつ。
エンドゲームのキャッチコピーは「最強の、逆襲(アベンジ)へ――。」です。
アベンジの最も大事な部分は「個人的な理由による復讐で」はない、ということです。
「正義感による悪への報復」とは個人的なものではない、とも暗に言っている部分はとても面白い。
そして、友情とは端的に言って一人ではなくなる、ということでもあります。
アベンジャーズは一人で戦わなくて良くなった物語である、と倉木さとしが僕に勧めてくれた文言でもありました。
それはとても正しい。
正しすぎるくらいに正しい。
人は一人で戦わなくて良い。
最後に東浩紀のツイートを紹介して、今回のエッセイを終わりにしたいと思います。
――MCUは文化史的にも後世特記されるシリーズだと思う。これは物語の内容的にも需要の広がり的にも、グローバル資本主義が手に入れた初めての本当の意味で「グローバルな神話」と言えるんじゃないか。
グローバル(世界的規模)な神話の中心には友情があって、それは一人で戦わなくて良いである、だとすればこの先の世界は何だか悪くないもののように僕は安易に思ってしまいます。
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