くそばっか

高岡 望

第1話 ダイエット

私の大学時代の友達、A子さんは顔を合わせる度に

「痩せたい。」「痩せなきゃ。」

と言ってくる人でした。


でも特に太っているとも思えず、

「えー、全然太ってないじゃん〜!」

と毎回返していました。


するとA子は

「彼氏がさ〜痩せてる人が好きだからさ〜もっと痩せないとなんだよ〜!」

と幸せオーラ全開で返してくるのです。


結局は彼氏の惚気話なので、私も適当に相槌を打ちながら話し相手になっていました。


しかしある日、A子はとんでもなく血色の悪い顔で大学に来ました。


私は心配して何があったのか聞きました。

すると彼女はいつもの様なのほほんとした顔で

「いや〜、ちょっとダイエット無理し過ぎたかも〜」

と言うのです。

私は倒れたら元も子もないよ、と言ってダイエットのし過ぎは控えるように言ったのですが、その場は曖昧に誤魔化されてしまいました。


その後、しばらくするとA子は大学に来なくなってしまいました。


私は心配で、遂にA子の家に押しかけることにしました。


インターホンを鳴らしたのですが、一向に出る気配がありません。


どうしたものかと思ってダメ元で玄関のドアを開けると、鍵が閉まっていませんでした。


A子は普段から必ず鍵をかけるので、更に不安になり、家の中へと入りました。


すると、そこには男の人が倒れていました。


私は声をかけるか迷いましたが、とりあえずA子を探しました。


いました。


でもそれはA子のようで、A子ではありませんでした。


だって、お腹がパックリと裂けていて、そこから内臓がこぼれ落ちているのですから。


そして、側には手紙が置いてありました。


か細い文字で


「貴方にこれ以上嫌われない為に、もっと痩せます。でも、このダイエット方法をしたら死んでしまうので、先に向こうで待っていてください。」


と、書いてありました。


更にそこには毎日の体重を書いている手帳がありました。


私は、A子を引っ張り、体重計に乗せました。


そして耳元で言いました。


「良かったね。すごく痩せたよ。」


A子の内臓が床へとこぼれ落ちました。



それから一週間後。私は彼氏の為に全力でダイエットを頑張ったA子に嫉妬し、これから内臓を抜き取ります。


きっと天国の彼もA子では無く、私を選んでくれると思います。


お腹を包丁で裂きました。


痛くて熱くて息ができません。


でも、私のお腹から内臓が落ちた瞬間、私が乗る体重計の数値が一気に下がりました。


あぁ、良かった。


A子に勝てた。


私の意識はそこで途切れました。


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