パティシエが多すぎる
めるえむ2018
第1話
私は殺された。
霊体の身では犯人は伝えられないが、ちゃんとダイイングメッセージも残しておいた。
なのに凡庸な警察はダイイングメッセージのいみに気づこうとしない!
あ、名探偵殿のお出ましだ!
これなら何とか!!
「メレンゲ? それがダイイングメッセージ?」
「パティシエの集まりですからねえ。みんな何かしらメレンゲには関係ありますよ」
探偵はふむとパイプをくゆらす~ふりで、実はそれは禁煙パイプである~。
「メレンゲはスイスのマイリンゲンとかメイリンゲンとかいうとこで発明され、18世紀にイタリア人のガスパリーニによって改良されたとされてるが、確たる証拠はないからね」
「スイス人パティシエかイタリア人パティシエが怪しいということでしょうか?」
「いや…メレンゲの呼称が確認できるいっとう古い文献は、17世紀終盤の、フランスの料理本だしねえ」
「ではフランス人パティシエが…」
話しながら行ってしまった。
メレンゲ。
フランス語では「ムラング」。
ムランは私の家内の名だ!
どうして気づかない!
てなわけで、私のダイイングメッセージは曲解されたまま、事件はあらぬ方向へと引っ張られてゆくのだった。
パティシエが多すぎる めるえむ2018 @meruem2018
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