第24話 〇九行軍編3
○超訳 9-3
こちらが接近しているのに
落ち着き払う敵は、
その場所の有利さを確信している。
まだ彼我の距離が離れている内に
挑発してくる敵は、
こちらを不利な地に嵌めようとしている。
平坦な場に布陣していれば、有利である。
無数の木が揺らいでおれば、
敵がこちらに向かっている。
草木がこちらの視界を妨げるのであれば、
伏兵の恐れが大きい。
一斉に鳥が羽ばたいた地には、
獣たちが逃げ惑う元には、
やはり伏兵の恐れがある。
砂埃が細長く舞うのであれば、
戦車による進軍であろう。
低く広い砂埃であれば、
徒歩にての進軍であろう。
一箇所から細々と煙が見えるのであれば、
それは薪の準備である。
小さな煙が幾つも上がるのであれば、
それは宿営の準備である。
使者の言葉が弱気であるのに、
備えが着々と進むのは、
襲撃の兆しである。
使者が強気に迫ってくるのであれば、
敵は退却したいと思っている。
機動力の高い部隊を
集めているのであれば、
こちらに先んじて布陣し、
地の利を得ようとしておろう。
何の前触れもなしに
手打ちを持ち掛けてくる者は、
こちらを陥れる策謀を編んでおろう。
慌ただしく布陣を整えてきておる敵は、
決戦を急いでおろう。
進退定かならぬ相手は、
こちらの追撃を誘っておろう。
杖ついて立っておる者がおれば、
飢えておろう。
水を汲んだ側から飲むものがおれば、
喉が渇いておろう。
目の前にエサがあるのに動かぬ相手は、
疲労しておろう。
敵の拠点と思しき箇所に
鳥が集っておるのであれば、
その拠点はフェイクである。
夜遅くに恐慌する者がおれば、
敵に恐怖が行き渡っている。
軍が騒がしくおるのであれば、
将が軍を統率しておれぬのであろう。
旗がゆらめき彷徨うのであれば、
その軍の統率は乱れに乱れておろう。
幹部が怒鳴っておる軍は、
綱紀が緩み切っておる。
兵糧や牛馬を食い切り、
調理道具等を捨て、
後顧なく向かってくる敵は
決死の決戦を挑んでこよう。
ねちねちくどくどと語る将、
兵におもねり、取り入ろうとする将は、
兵よりの信頼を失っておろう。
しばしば褒美を出しているのは、
部下を宥めたいためである。
しばしば罰するのは、統御が
取りづらくなっているのである。
どちらも将と兵の連帯が
崩れている証である。
部下に怒るだけ怒ってから、
その仕返しに怯えるような将は、
元より配慮に欠けておろう。
こちらに使者を寄越し、
挨拶をしてくるのは
休息を取りたく思っておろう。
意気盛んに向かい合いながらも、
攻めても逃げもせぬような相手は、
その裏で何事かを謀っている。
注意深く観察し、意図を見抜くように。
○明暗テンプレ 9-3
統率が乱れている軍の状況を知る。 9-3-1
・軍がざわつき、旗が揺らめき、落ち着きがない。
・しばしば部隊長が怒鳴っている。
・将がねちねちくどくどと語っている。
・将が兵におもねり、取り入ろうとする。
・ちょくちょく褒美を出さねばならずにいる。
・処罰が頻繁に為される。
・将が兵よりの報復を警戒している。
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