第17話 〇七軍争編1
○超訳 7-1
孫子は言う。
戦争とは任務を受けて
行うものであるが、
結局のところ、一番厄介なのは
戦闘そのものである。
迂遠なルートが近道であったり、
弱点と思っていた部分が
思わぬ強みを発揮したりする。
ここを逆手に取るのが迂直の計である。
迂回路に何かメリットがあれば、
あとから出たはずが、
先に到着することもある。
これは行軍ルートについて
知悉する者のみが為し得る。
我々の目の前には、
あらゆる不確定要素が転がっている。
故に戦闘行為はメリットとも、
デメリットともなる。
全軍で戦闘行為をなそうとすれば、
行軍が遅れ、敵にいいように弄ばれよう。
機動力の高い部隊のみに
先発させれば、兵站線が途切れてしまう。
例えば、最高速を狙い、
武器防具を纏め上げておき、
昼夜を問わず行軍し戦場に赴くとする。
それが百里先であれば、
体力の劣る者は遅れるから
全軍の十分の一も到着せぬうちに
戦闘が始まってしまい、
先鋒の将は皆捕らえられよう。
五十里先であっても、
兵は半分ほどしか到着すまい。
結局将は捕まるのが落ちである。
三十里であれば、
兵の三分の二は到着しよう。
これならば、まだ勝ち目も見える。
輜重隊なき軍は滅ぶ。
食料なき軍は滅ぶ。
軍資なき軍は、滅ぶのである。
○明暗テンプレ 7-1
効用作用にのみ着目し、既存の規定に縛られない。 7-1-1
迂直の計(直線距離的には遠回りになろうとも、結果として自軍を戦場に先に到着させる計略)を用いる。 7-1-2
戦地は不確定要素ばかりであると知る。不確定を受け入れる。 7-1-3
戦地への行軍距離により到達戦力にギャップが生じ、戦力減退のリスクが生じると知る。 7-1-4
輜重隊なき軍の維持は叶わぬと知る。 7-1-5
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