file6 エピローグ

シャンシャン

シャンシャンシャン


「ダレ?」

「かっわいいぃ」

「綺麗」


俺達の前にいる舞を見に来た人たちから歓声が上がっている。

隣では――


「ううぅ」

「父さん、何で泣いてるんだよ」

「伊織も……大きくなったと……思ってな」


そう。現在その伊織は目の前の舞台の上で毎を踊っている。

練習用のなんちゃって巫女さん姿ではなくて、演舞用のすごく綺麗な衣装を着て少しだけ化粧をした姿で。


「確かに、綺麗だ……」


一生懸命に舞うその姿は本当に綺麗だと思った。




後々の供述から分かった事だが――

本当は品説つもりはなかったと四人は話しているらしい。巫女様になれる三家の中で日暮家は家格的にはちょうど真ん中で、もともと生まれた家柄で舞う立ち位置を決めていたこの演舞は綾香さんの前の代から上手く踊れる人が前と決まった。

ソレに納得がいかなかった家格上位の松田家が押しのければ上に登れると北方家をそそのかし始めたことに始まったみたいで、綾香さんが巫女に選ばれる前から度々このようなケガしたりとかはあったらしい。

綾香さんもただ脅して、ケガさせるくらいになるはずだったものが、うちどころが悪くて亡くなってしまった。それを松田由紀の婚約者でもあった、地方議員の息子でもある男方の鶴田がもみ消したのだ。


この供述により綾香さんの事は事故ではなく事件として扱われるようになり、余罪もある事から重い刑になるだろうって父さんが言っていた。

人の罪が重くなってしっかりとした罰を与えられるのは悪いことじゃない。じゃないけど、亡くなった人はもう還ってこない。


――綾乃さんの心情を思うと心が辛くなるよ。




「さて、私達は戻るよ」

「ああ、今回もありがとうみんな」

「では明日お迎えに来ますね」

「伊織ちゃんばっかり見てたら嫌われるよぉ?」

「な!?」

「あはははははは。じゃぁ明日ねぇ」


手を振ってカレン達を見送ったその場に少し立ったまま俺は少し反省する。

そんなに見てたかなぁ?


明日もう一日だけ伊織の演舞は続く。


――今度は注意しなくちゃな。


そう言い聞かせながら俺は日暮家のある社の方へと走り出した――




※作者の後書きみたいな落書き※

この物語はフィクションです。

登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。

誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。


この後は――

閑話的な話であるfile0を明日よりお送りします。

真司と伊織の両親の出会いの物語。

お楽しみいただけると嬉しいです。

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