第21話 記憶からいつでも消せる夏

『記憶からいつでも消せる夏』


空にそっと手を伸ばす

飼い犬の背をなでるように


夏雲を飛ばす秋風は

春を隠した夏を疎んじる

ペルセウス座流星群が去ったから

夏が過ぎ行くのは時間の問題


星があまりに重いから

夜空がどんよりと淀む

星が降るよ、星が降る


吹けば飛ぶようなリアルな思い出

現実に向き合えば向き合うほど

銀の涙がどんどんあふれだす


空に伸ばした手を引っ込める

終わりゆく夏をこの胸に収め

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