ヴァイスの性癖

有原ハリアー

私の性癖について

 サラサラと羽ペンの紙上を走る音が、執務室に響く。

 ヴァレンティア王国第一王女、ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティアは、自らの感情を整理するため、誰に宛てるでもない手紙をしたためていた。

「さて、これでようやく完成ね」

 手紙には、以下の内容が書かれていた。


「龍野君へ


 私がどうしてこうなったのかを告白します。

 既にご存知の通り、私が貴方に惚れた経緯は、小学校でのがきっかけです。

 私はあの日以来、殿方については、お父様を除いては貴方しか考えていません。もちろんお父様については、『私の父君への敬意けいい』という意味ですよ? そこは誤解無きよう。


 さて、本題です。

 私は今まで貴方に、性的に迷惑をかけてきました。貴方も、迷惑をかけられた心当たりがありますよね。

 私の性欲は、貴方と別れた小学校の修了式からずっと、日増しに強くなっていきました。

 自分で自分を抑えられなくなりました。

 私は日々、貴方を想いながら、「貴方に組み伏せられたい」と思いながら、自分で自分をいじめていました。こんなこと、見せられても困るだけですよね。


 それでも、貴方に振り向いてもらいたい。

 内面は大事、そのことはわかっています。けれど当時の私は、体を磨くことに心を囚われていました。

 だからこそ、お母様に頼み込んで、体を、そして”女としての在り方”を徹底的に叩き込んでもらったのです。

 その過程で、私の旺盛な性欲を活かす方法を授かったが故。貴方には、様々な行動で以って困惑を誘いました。


 全ての責任は私に。

 ここに詫びさせてくださいませ。


                 ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア」


 その手紙を封筒に入れ、机を離れるヴァイス。

 封筒には、「これを見つけて私を嫌いになっても、この手紙を捨てても、この手紙で脅迫しても、龍野君であれば一切の責任を問いません」と書かれていた。

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ヴァイスの性癖 有原ハリアー @BlackKnight

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