ソシャゲから始まる青春ラブコメはどうもおかしい。
フクロウ
一章
第1話 俺の人生リセマラしたい
ソシャゲ、それはソーシャルゲームの略である。近代スマホの普及と共にスマホでできる無料ゲームが多く作られるようになってきた。最近では男子学生の約8割はソシャゲをやっている。
つまり、ソシャゲをやっているものはそれに準じて約8割の男子学生の仲間に入っているといっていい筈だ。
ならば、ソシャゲをやっていて自分のことをボッチと称しているものは偽ボッチと言うことになる。
その事からつまり、簡潔に言うと、
「俺はボッチではない。」
「あら、貴方は一人ボッチだと思うわよ。」
ボヤいた言葉にすぐさま反論が返ってきた。しかも、俺の意見もろくに聞いてもいないのに。
「何でお前がここにいるんだよ、青森。」
青森聖奈、この県立霧島高校に置ける最も優れた才女、そして最も俺の嫌う悪女だ。
「何をいっているのかしら?私も貴方と同じ教室のクラスメイトでしょ?」
「……だからと言ってお前が俺の席に来るのはおかしい。」
「貴方が一人で可哀想だったから話し相手くらいにはなってあげようと思ったのよ?」
こいつナチュラルにディスって来やがる。しかも、一人のところをあえて強調しやがった!
「話し相手なんぞいらん!俺にはソシャゲがあるからな!それにお前といると周りのやつがチラチラこっちを見てきて目立つしな。」
そう、青森は才女であり、悪女であり、美女なのだ。言うならば才色兼備、文武両道、有智高才である。優れているために周りからは高嶺の花と称されていて物凄い目立つ。
こいつは俺の敵だ。日本には非核三原則と言うものがある。核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず。
俺の場合は、話題を持たず、作らず、持ち込ませずである。これは俺の非リヤ充三原則に基づく絶対にしてはならないことである。
「気にすることないわよ。どうせ貴方のことなんて誰も見てやしないから。それとも実は俺を見てるんじゃないかとか思ったのかしら?ふ、それはないから安心して。」
青森は笑顔で安定のディスりを始める。
しかも、これが入学後毎日続いているのだからそろそろ精神的に疲れてくる。
「お前、ホントに性格悪いよな。」
「あら?私は本当のことしか言ってないと思うのだけれど?」
キョトンと傾けられた頭の上にクエッションマークが見えたような気がした。いや、そんな事はどうでもいい。
「お前もうホントに向こうに行けよ。そろそろ俺の精神が砕けちゃうよ。」
「それにしても、最近のソシャゲってみんなリセマラがしやすいように新規の人にはガチャ石を大量に配るわよね?」
無視されたんですけど、俺もう泣いていいかな?泣いていいよね?
「……泣くぞこの野郎。」
「何か言ったかしら?」
「もういいよ。」
「 あら、そう?なら、さっきの話に戻しましょうか。」
「あら、そう」で終わっちゃったよ。俺の嘆きが特に興味無さそうに終わっちゃったよ。この女、マジで覚えとけよ!
「はぁ、で、最近のソシャゲが新規の人に石を大量に配るかだっけ?」
「ええ。」
「そんなの簡単だろ。プレイヤーの人数を増やすために決まってるだろ?」
「人数?」
こいつ、ソシャゲをやったことあんのか?
「そうだ、基本的にソシャゲってのは無料ゲーが多い。けどな、無料ゲーだからこそ、逆にそのゲームに手を出す人数が減るんだ。」
「理解が出来ないのだけど。無料ゲームなら逆に無料という事で誰でもできるつまり、手を出しやすいということになるわよね?」
「ああ、そうだな。確かに手を出しやすいくはなるな。けどよ、逆に考えてみろよ?多種多様なソシャゲがあるんだぞ、それを全部やってるわけにはいかないよな?そしたら必然的に人気のゲーム、ひいてはガチャ石などのユーザーに優しい運営がやってるゲームが人気になる。」
「つまり、何?」
「人気ゲームて言うのは簡単に言うとやってるプレイヤーの人数が多いゲームのことを指すんだよ。つまり、人気ゲーム、イコールプレイヤーの人数と言うことになる。」
「なるほどね。」
それにさっき言ったように人気のゲームイコールプレイヤーの人数、と言うことはそれをやっているプレイヤーは皆、それをやっている仲間つまり、フレンドということになる。
フレンドを日本語にすると友達、つまり、さっき俺が唱えたソシャゲをやっているものはそれに準じて仲間内になると言う理論も間違いではない筈だ!
「でも、人数だけじゃゲームの運営は続けてられないわよね?」
「そうだ、だからこそ、各ソシャゲの説明のところに基本無料とかかれているんだ。運営を続けためにはそれに見合う利益がいる。ソシャゲの場合の利益は課金から得られる。」
「そう言えば前にソシャゲの課金でニュースになったことあったわよね。」
確かにあったな。しかし、ソシャゲによくあんなにかけられるよな?俺は最高でも月に一、二万位なのに。
「ま、ソシャゲに毎月十万とか下手すれば百万かけるやつもいるくらい出しな。」
「流石にお金をかけすぎよね。」
俺も青森に大いに同感だ。いくら何でもソシャゲに金をかけすぎだ。
「ま、でも、課金者がいないと、いないでそのゲームは続かないんだけどな。だから、結局は持ちつ、持たれつって事なんだろうな。」
「そうね。そう言えば、萩本くんは最近はどんなゲームに手を出してるの?」
「教えねぇよ、お前だけには絶対にな。」
こいつに教えたら絶対に私もやるとか言ってきそうだから教えん。俺は基本ソロプレイヤーなんだ。誰かと一緒にやるとか考えたことねぇわ。
「そう、なら、勝手に見るわね?」
青森はいきなり俺が持っていたスマホを奪い去ると電源をつけた。
ふ、あまいは。俺はこんなこともあろうかとパスワードを入力しておいたのさ!
「確か15532だったかしら?」
「おい!ちょっとまてこのアマ!何でしってんだよ!」
そう言うと青森は不適な笑みでスマホを操作して答えてくれた。
「昨日と今日の朝、合計二回も見たのよ?指の動きで大体の検討くらいつくわよ。……ほら、あいた。」
「………ストーカーか。」
「以外ね、萩本くんがまさかMMORPG何てやってるなんて、しかもこれ昨日出たばっかりの新作のやつじゃない。」
青森はスマホを見るやいなや失礼極まりない事を呟いた。
「ま、MMORPGなら基本ソロでも遊べるから萩本くんでもやれないこともないのかしら?」
「おまえな、いくら何でも言い過ぎだろ!」
「……私もやってみようかしら?」
ホント、話を聞いて!いや、聞いてください!
「やめとけ、やめとけ。MMORPGに関しては課金者優先だからな。」
「そんなこと言ったらほとんどのゲームが課金者優先だと思うのだけれど?」
「MMORPGにおいて最も優先するものはなんだと思う?」
「そんなの装備以外に何があるの?」
「ふ、あるに決まってんだろ。」
MMORPGにおいて装備品に匹敵するほどの物それは……。
「まさか、アバター装備のことじゃないわよ?」
「………お前分かってただろ。」
「まぁ、課金するのなんて装備品かアバターくらいでしょ?」
他にもアイテムとかあるけどね!
「でも、やっぱり装備の方を優先すべきじゃないの?」
「いや、見た目もそれなりに大事だぞ。あまり弱そうな格好をしてたら、パーティーにいれてもらえないしな。」
「貴方は強そうな格好をしていてもパーティーにいれてもらえないでしょ?」
もう、やだ!この子、ああ言えばこう言うし、何言っても俺をいじめてくる!
「い、入れてもらえるし、そ、ソシャゲだぞ?り、リアルじゃないんだから入れてもらえるし。」
「あら、リアルでは友人付き合いが出来ないと分かってはいたのね。」
「おい!さっきからお前は何なんだよ!」
青森は笑みを浮かべ「わかるでしょ?」と、でも言うかのように肩に手をおいた。
「もう、いいだろ、そろそろ自分の席に戻れよ。ホームルームが始まるだろ。」
「そうね、また、後で来るとするわ。」
来るんかい!と、言うか来るなよ!
「それと、私もやってみようかしらさっきのルぺライトオンライン。」
最後にそう言うと青森は身を捻り自分の席に戻っていった。
「結局、アイツは何がしたかったんだ?」
意識せずそんなぶやきを呟いた時、教室のドアが勢いよく開いた。
「ダル~、お前らさっさと座れ。私に余計な仕事を増やした奴には課題を与えるからな~。」
開けて入ってきた女性教師は名簿表で自分の肩を叩きながら生徒の方を見ながらそういった。
「宇治村先生~何でいつも教室に入ってからの一言目がダルいから始まるんですか?」
確かにな。教師の言う言葉じゃないよな?
「あ~そんなの決まってんだろ。私のルーティーンなんだよ。」
「……相変わらずだな、宇治姉。だから、結婚相手が逃げるんだよ。」
誰にも聞こえない声で独り言を言った……はずだったのだが。
「萩本~お前後で覚悟しとけよ。後、放課後職員室に来い。」
周りが俺の方を見ながら一斉に笑い始めた。因みに宇治姉は俺の従姉妹にあたる。
こうして俺の朝が始まる。分かってもらえただろうか。
そう、俺の朝は罵倒されて、宇治姉に怒られる、そう言う朝から一日が始まるのだ。
「……マジで人生リセマラ出来ないかな。」
「出来ねぇから安心しろ。」
また、聞こえないように呟いた独り言が宇治姉には聞こえていた。もちろん、周りは訳が分からないようで、首を傾けていた。
神様、次生まれ変わるなら語彙力と集団行動のできるイケメンに転生させてください!
「それもねぇから安心しろ。」
何で心の声まできこえてんだよ!
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