第3話座敷遊び

生きるも死ぬもこの盃ひとつ。私を身請けしようと仰せになるなら、千種の花の蜜を漬けた秘蔵の美酒を召ませ。たちまち雲母のごとく白銀の鱗が生え出て、海を求めるやもしれませぬ。はたまた見目うるわしい美姫となって、国を傾けても不思議でない。魚になるも姫になるも、すべてはあなたさまのさだめ次第。神仏のみが知ることです。私と歌舞音曲に興ずる夜も、今宵かぎりと思えば、さぞかし切のうざいましょう。さあさあ、あなたさま、情のうても男の身ならば、この杯をぐいと干しませ。数多の男を滅ぼして、私を秋扇の憂いに沈ませてご覧なさいまし。あら、その小指の輝きは、龍宮の使者の鱗ではありますまいか。


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第三十九回お題 「試す」

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