外食フレンズ!

@bentmen

第1話 サイゼリヤのサラダとドリア


「アライさーん、起きてよ、アライさーん」


「zzz……はっ!」


 とっぷりと日が暮れた午後8時30分。アライさんはフェネックの家に遊びに来たが、二人とも遊び疲れて夕方まで昼寝……するつもりががっつり寝てしまったようだ。


「うーん、やってしまったねぇ…… 外に食べに行くにも、近所の飲食店は、大体9時までなんだよねー」


「コンビニで何か買うか?」


「いや、最近コンビニ飯が続いちゃっててねー。 何か野菜が食べれる所にいきたいなー」


「野菜が食べれる所…… 牛丼屋でサラダでもセットにして食べるのだ?」


「いや、もっと美味しいサラダがいいなー。─────あ、そうだ。アライさーん、久しぶりにサイゼリヤに行こうよー」




外食フレンズ! 一店目 サイゼリヤのサラダとドリア




「というわけでやって来たのだサイゼリヤ! この時間でも、以外に人がいるのだ……」


 サイゼリヤとは、イタリアンファミリーレストランのチェーン店で、比較的安価な価格で美味しいイタリアンが食べられる。サイゼリ“ア“ではなくサイゼリ“ヤ“なので注意しよう。



「お腹減ったから早く注文しようよアライさん。サラダは何にしよっかー」


「そんなの決まってるのだ! 小エビのサラダなのだ!」


「えー? 何で決まってるのー?」


 フェネックが首をかしげると、アライさんは得意気に話し出す。


「小エビのサラダはやっぱり小エビの甘さがシャキシャキレタスと相性バツグンなのだ! それに、かかってるドレッシングが美味しいのだ! シェフサラダもルッコラと粉チーズがかかっていて美味しいけど、オリーブオイルはアライさんあんまり得意じゃないのだ……」


「小エビのサラダにかかっているのはサイゼリヤドレッシングだねー。でもアライさん、ドレッシングは、種類を選べるんだよー?」


「そ、そーなのか!? シェフサラダにサイゼリヤドレッシングをかけることもできるのか!?」


「もちろんさー。他のサラダだって、同様だよー」


「ぐぬぬぬ! 今まで何も考えず小エビのサラダを注文してしまっていたのだ…… アライさんのサラダレパートリーが増えてしまったのだ! さっそくシェフサラダをサイゼリヤドレッシングで食べてみるのだ!」


「私は、小エビのサラダにしよーかなー」

「フェネック!?」


 結局アライさんはシェフサラダ&サイゼリヤドレッシング、フェネックは小エビのサラダを注文することにした。


 しかし、サラダだけでは流石に足りない。


「後は、ドリアを頼むのだ!」

「ミラノ風ドリアで、いーかなー?」

「もちろんなのだ!」


 ミラノ風ドリアとはサイゼリヤの一番プレーンなドリアで、全てのメニューの中でもトップの人気を誇るまさに看板メニューである。


「じゃあ、私もそれにするよー。呼び出しボタン押すねー」


 ピンポーン


「お待たせしました、ご注文お伺いいたします」


「シェフサラダをサイゼリヤドレッシングで、あと小エビのサラダをお願いしますなのだ!」

「あ、小エビのサラダはトマト抜きにしてくださーい」

「そんな事も出来るのか!? でも、フェネックの分のトマトはアライさんが食べてあげるのだ! アライさんにお任せなのだ!」

「そーおー? じゃあ、トマト抜きやっぱり無しにしてくださーい」


 サラダの注文を終え、次はドリアの注文に移る。


「それと、ミラノ風ドリアを2つお願いしますなのだ!」


「一個は、“よく焼き“にしてくださーい」


「フェネック!? それはどういう注文なのだ!?」


「オーブンで焼くメニューはねー、頼めば焼き時間を長くしてくれるのさー。ドリアをよく焼きにすると、より表面のこんがり感が増すんだよー。好みは別れるけどねー」


「そうなのか! さすがフェネックなのだ! 物知りなのだ!」


「まぁ、あんまりやってる人はいないからねー」


 アライさんのドリアは普通、フェネックのドリアは“よく焼き“。

 そうして、注文を取り終えた店員は下がっていく。


 アライさんが水を取りに行き、席に戻ってほどなくして、サラダが二人の前に提供された。


「お待たせ致しました。シェフサラダと小エビのサラダでございます」


 シェフサラダは、ザク切りにしたレタスや細切りニンジンの上に、ルッコラと砕いたクルミ、ペコリーノ粉チーズがかかっており、脇にレタスが添えてある。

 全体にかけられたオーロラソースの様なサイゼリヤドレッシングと、野菜の白と緑と赤のコントラストは見るだけで食欲を掻き立てられる。


「これがシェフサラダ、サイゼリヤドレッシングバージョン…… い、いただきますなのだ!」


 パクりと一口。レタスとルッコラが、噛む度に口の中でシャキシャキと踊る。「みずみずしいだろ?俺達みずみずしいだろ?」と野菜たちの新鮮さのアピールが半端ではない。

 そしてそれに絡むサイゼリヤドレッシング。甘酢っぱい不思議な味が、野菜達の旨みを引き立てる。


「これは美味しいのだ! ちょっと粉チーズの存在感が減ってるけれど、クルミの香ばしい香りとドレッシングの味がクセになるのだ!」


「良かったねー、アライさーん」


 そう言うフェネックがフォークで食べているのは小エビのサラダ。ルッコラ、クルミ、粉チーズが小エビに変わっていて、小さいながらも肉厚で甘いエビの美味しさを楽しめる、サラダ人気No. 1も頷ける逸品である。


「美味しかったのだ!」

「サラダは安定した味だよねー。サイゼリヤに来ると、ついつい頼んじゃうよー、まぁ今日の目的はこれだったんだけどねー」


※オリーブオイルドレッシングもとても美味しいです、色々試して自分の好みの味を見つけてください!


 サラダを食べ終わった後、丁度良いタイミングでドリアが運ばれてくる。一つは普通、もうひとつは“よく焼き“だ。


「さて次はお待ちかねのドリアなのだ!」

「おおー、あっつあつだねー。気をつけてねアライさーん」

「むうう、熱いのは承知しているのだ! アライさんはその辺バッチリなのだ!」


 ホワイトソースとミートソース、二つのソースがたっぷりとかかっておりライスは見えない。表面の焦げが、しっかりと焼かれていることを教えてくれる。

 早く食べたい、だがその気持ちのまま口に入れるなかれ。こいつは299円で私達に至福の時間を与えてくれる代わりに、焦る愚か者の口の中を破壊し尽くす、二つの顔を持っているのだから。


 アライさんはスプーンでターメリックライスと二つのソースを絡め、掬って十分に冷ましてから口に入れる。


「ふーっ、ふーっ、はむっ…………は、はふ、熱いのだ!」


「ほらー」


「でもミラノ風ドリアはやっぱり美味しいのだ!」


 アライさんは口の中を水で冷ました後、満面の笑みを見せる。何回もサイゼリヤに足を運ぶ人はミラノ風ドリアを食べる度に言う。やっぱり美味しい、と。



 フェネックも自分のドリアを口に運ぶ。彼女の分は“よく焼き“だ。表面の焦げがパリッと仕上げられており、心なしかドリア部分もアツアツに仕上がっているように見える。


「はむっ…………は、はふっ!! は、はふいよアライさーん!!」


「フェネックもやけどしてるのだ…… このドリアを食べてはふはふしない人なんているのかー?」


「そ、それは確かにそーかもね……」


 しかしドリアはこのはふはふの瞬間こそ美味しいのだ。濃厚ホワイトソースと旨み凝縮のミートソースが、少し硬めのターメリックライスと混ざり合い、重厚なハーモニーを奏でる。

 “よく焼き“ならばそこに表面の焦げのパリパリ感も加わり、いっそう複雑になった風味で香りさえも美味しく頂けるであろう。



※よく焼きといってもそこまで焦げ焦げにはなりません。これも是非一度お試しください。


「はぁー、満足、満足なのだ」


「学生さんだと足りないかもだけど、私達女子には十分な量だよねー」


 がっつり食べたい人はドリアとパスタをひとつずつ頼むのがおすすめ。パスタも麺の種類が選べるので、好みの組合せを見つけてみてください。


 満足した二人はお会計へと向かう。


「これだけ食べてもサイゼリヤなら……」


 ミラノ風ドリア 299円×2=588円

 小エビのサラダ 349円

 シェフサラダ  299円



 お会計  税込 1246円


「流石の安さなのだ!」


 心の中の博士と助手が言う。1000円札を握りしめてサイゼリヤにいけば、きっと満腹、満足なのです!



「それじゃあアライさーん、帰りにコンビニでアイスでも買って帰ろうかー」


「サイゼリヤはデザートも美味しいのだ、でもあえてコンビニなのか?」


「いや、特定のお菓子3つでけものフレンズのグッズが貰えるからさー協力してくれると、嬉しいなー」


 今度はコンビニアイスのベストについて熱い議論を交わしながら、二人は帰路につくのであった。



 美味しいサラダが食べたくなったとき、サイゼリヤも選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

 気心の知れた人と一緒に、ベストのサラダについて意見を交わすのは楽しい時間になる、かもしれない。

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