ルイ≒トモ
カゲトモ
1ページ
「ふぃー」
「もうおねむですか?」
なんて意地悪を言うと、天使はバッと顔を上げてブンブンと首を横に振った。
「ち、違いますよ! ちょっと長めの息を吐いただけでっ」
「おや、そうですか? マリカ君、もう結構飲んでいますよ? 先にマリオ君に電話しておきましょうか?」
「うっ。あの時のことは反省しているので、そんなこと言わないでくださいよぉ」
「ふふふ、すみません。マリカ君が可愛いのでつい」
だって困った顔も可愛いから、なんてね。
「もう、マスターったら」
ぷぅ、と頬を膨らませて怒って見せるのも可愛らしい。こういうのをあざとかわいいって言うのだろうか? 良く分からないけれど。
でも、マリカ君は素直だし天使みたいな見た目に反して俳優の仕事にも熱い男だし、これが計算じゃなくて天然だったら凄いなぁ。さすがマリオ君の後輩。
「今日は朝からアクティブに動き回っていたのでちょっと疲れちゃって」
「今日はお稽古お休みだったんですか?」
「はい、ゴールデンウィークずっと休みって訳じゃないんですけれど、今日は休みで。久し振りに友達と遊んできたんです」
「それはそれは。今日もいいお天気でしたし、良かったですね」
「はいっ」
して、いったいどちらへ?
おしゃれはあまりしない俺でも、マリカ君がおしゃれ上級者なのは良く分かる。中世的な顔立ちに、華奢な体つきでもちゃんと男の子の格好になっているし。女の子みたいに肌だってツルツルだし、羽のイヤリングまで付けているのにちゃんと男の子だ。男装している女の子じゃなくて、おしゃれな男の子。あぁ何て言ったらいいだろう、もう凄く格好いい男の子なんだよっ!
そんな男の子が遊ぶって言うんだから、何処かへ買い物でも行ったのか? あれ、成人男性の遊ぶっていったい何だ?
「あ、クライミングに」
「クライミングッ? クライミングって、あの、壁に付いた色とりどりのブロックみたいなものを登って行く、あの?」
「はい、そうです。実はクライミングが趣味で」
「え、マリカ君が?」
おっとつい口に出てしまったっ! だってこんなに華奢なマリカ君がそんなマッチョみたいな趣味を持っているとは・・・!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます