特急

 窓が田園風景を先ほどからずっと垂れ流していた。

 竹下はずっとそれを眺めていた。


「 特急、空いていますし、車を走らせるより楽で、いいかもしれませんね 」

 中沢が駅で買ったコーヒーを口へと垂らし、一滴一滴を感じていた。


「 中沢くんもやっと電車の良さがわかりましたか 」

 電車代がバカになりませんけど、と言い返そうとしたが、口をつぐんだ。


「 さて、さっきの続き。やりましょう 」

「 やりますか 」


「 まず私たちの目的は警視庁の、または警察になるかもしれませんが、その辺りの上層部と東山高校校長の因果関係について、です 」

「 おそらく上と校長の間には友好関係があるのではないか、とおもいます。

 そうでなくともは警視庁を動かせるほどの関係にある。

 校長は警視庁の知らせたくない事実を掴んでいるとか? 」


「 上が校長から恩を買ったことがあるのかもしれませんよ? 」

 机が小刻みに震えた。

 列車は利根川を超えた。


「 やはり裏で金が回っているのでしょうか。

 東山高校はWi○iによると18年前にでき、害者二人は初めての卒業生、ということになります 」

「 18年ですか。長いですね。ただし、不審なほど長いというわけでは全くありませんし、この程度ならば開校以来の付き合いかもしれませんね 」


「 開校の資金についてが、気になります 」

「 私もです 」

「 文科省ですか? 」

「 おそらく 」


「 文科省に直行しますか? 」

「 総監の命令など、どうせくだらないものでしょう 」

 二人してふふ、と笑った。

 窓に映る姿はまさに、不審だ。


 その時、中沢のスマホがなった。

「 おっと、竹下さん、失礼します 」


「もしもs……」

「 高松だ。私、つまり総監の捜査権停止を聞きつつも、捜査、行ったそうじゃないか。

 なかなかいい度胸で 」

 中沢の手も震えた。

「 あああ、あの、竹下さんっに変わります 」



「 お電話変わりました。竹下です 」

 彼ははい、はい、と幾度か返事をした。

 そしてスマホを彼に返した。


「 出勤停止だそうです 」


「 出勤しなければ捜査していい、ということで解釈しますか 」

 竹下は何やら明るくそう言った。

 中沢より屁理屈であることに中沢は胸を撫で下ろした。

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