被害者
「 で、被害者は井村剛25歳。一度保護観察処分を受けているとか 」
「 ではなぜ保護観察処分を受けたのか、これが解決にあたって大切になるでしょう。なぜなら…… 」
「 怨恨の線が強いから、ですね 」
「 誰かもう調べているはずです。行ってみましょう 」
竹下は馬場さんなら知っているでしょう、と言いマフラーを巻いた。
「 先ほど馬場さんたちどこかへ行ってしまいましたが見つかりますかね 」
「 見つけるのが仕事です 」
竹下はそう言って外に出て行った。
「 あっと、ちょ……待ってください…… 」
中沢も続いた。
「 また竹下さんですか……今度はなんですか…… 」
馬場は呆れている。
本来馬場が竹下を追っていたものの撒かれ、ましては逆に居場所を特定されるなど呆れて当然だろう。
「 竹下さん、ここよくわかりましたね。そもそもなんで害者の自宅知ってるんですか? 」
中沢はとても感心している。
今時上司に憧れる部下というのも珍しい。
「 少し、小耳に挟んだので 」
誰だよ情報を漏らしたのは、と馬場と長沢がため息をつく。
「 と、いうことで被害者の情報について伺いたいのですが 」
「 ということでじゃないですよ。まあ、教えるんですけど 」
「 教えるんだ…… 」
「 被害者は井村剛25歳。で、ここが彼の家。前科があり暴行罪で懲役一年の判決を言い渡されており、3年前に出所。
その後は真面目に働いていたとか 」
「 なるほど、ありがとうございます 」
中沢が必死にメモを取る。
馬場のスマホが鳴る。
「 ちょっと失礼…… 」
そう言い外に出て電話にでた。
「 はい、馬場です 」
「 何っ、はい、今すぐ行きます。ではまた後でっ 」
彼は震えながらスマホを切った。
「 馬場さん、ええと、何があったのですか……? 」
「 おい、長沢、また首を落とされた死体が見つかった、行くぞっ 」
「はっ、はい!」
ドタバタと馬場と長沢が出て行った。
「 我々も、行きますか 」
「 えっと、竹下さん、事件現場どこか知りませんよね。あの会話だけで 」
「 誰かに聞けばそれでいいわけです。ただ…… 」
「 ただ? 」
「こんな白昼に殺人。考え辛いではありませんか 」
「 では、行きましょう 」
「 はい 」
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