07.初バトルとクエスト

 ギルドには割とすぐについた。

 三階建ての建物のようで、入ってみると一階は受付っぽいカウンターがずらりと並んでおり、よくある様な酒場は隣接していなかった。

 ニ階へ続く階段もあり、登った先には三階へ続く階段と受付があり、その奥は図書館のように本棚がぎっしりと詰まっている。

 三階は部屋がいくつかあるのが分かるがここからは通路とドアしか見えない。

 どの階も人がせわしなく行き交っている。

 プレイヤーもかのりの数が来ている。



 まずは登録をしよう。

 一番近くにあったカウンターに行ってみる。

 綺麗なお姉さんが迎えてくれる。



「すみません登録をしたいのですが」



「冒険者登録ですね。少々お待ちください」



 そう言うと、奥から丸い水晶のようなものと書類を持って、書類の上に水晶がくるようにカウンターに置いた。



「こちらの道具に触ってもらってもらうことでお客様の情報を登録することができます。直ぐに終わりますので水晶に手をお乗せ下さい」



 言われた通りにすると水晶が光り、書類に名前等の情報が書かれる。

 どうやらこれで登録は完了のようだ。



 その後は特にテンプレの展開もなく、ギルドカードを貰い、簡単な説明と注意事項などを伝えられて終了となった。

 冒険者にはランクがなく、どのクエストでもやって良いそうだ。ただ、クエストにはランクが付いており、推奨されるプレイヤーレベルが変わっている。

 ランクはH~SSSまであり、推奨レベルが1、10、20と10ずつ上がっていく。

 よって、プレーヤーの自由で薬草詰から強大なモンスターの討伐まで自己責任でやってくれ、ということらしい。



 ちなみに、現地人(NPCのことはそう呼ぶことに決めた)は強いものは騎士や魔術師になり、冒険者はプレイヤーがなるものらしい。プレイヤーのことは現地人の人たちの間では『ストレンジャー』と呼ばれていた。異邦人という意味のようだ。

 この世界では、強くなるのが早く死んでも生き返るプレイヤーは、自由気ままに暮らしてたまに迷惑を起こすが、魔物を倒したり素材を提供してくれるいい隣人という扱いのようだ。

 ただ、神によってこの世界に送られてきているという設定らしく、労働を強制できるはずもないので冒険者ギルドなどで活躍してもらい、街としても共存を目指しているようだ。



 このあとは腕試しをしてみたいので、外で魔物と戦ってみるついでにさっき冒険者ギルドで受けてきたクエストをやってみようと思う。

 行くのは西の草原だ。この街の周りは草原になっており、街に近いところには弱い魔物が、街から離れる程強い魔物が増えていくようだ。

 どこの門から出ても出てくる魔物はほとんど同じだから一番近い西門から外に行く。



 門のところで門番の兵士に挨拶をして外に出る。

 門を抜けるとそこは草原だった―

 昔の名著風に格好つけてみたが、まんまだ。

 見渡す限りの草原で遠くに若干の木が生えている程度だ。

 ここ以外の他の門の外もこんな感じなんだろう。



 近くにはスライムやカエルの魔物が居る。

 早速狩りたいところだけど周りはプレイヤーだらけで魔物がほとんど居ない。

 しかたない、少し離れたところまで移動することにしよう。獲物を奪ったとか言いがかりをつけられても嫌だ。


 プレイヤーがまばらになったところで手元に木の槍を持ち構える。

 すると、近くにいたスライムがこちらに気がついたのか攻撃を仕掛けてくる。



 やっぱり最初はスライムだよな!



 丸い緑の半透明の体をバウンドさせながらこっちにぶつかってくる。

 思ってたよりも少し早い。スライムだからと油断しすぎた。

 まだこのアバターに慣れきってないこともあり、ギリギリかと思いながらも槍を動かそうとすると、なんとなく動きやすい動作が分かるような気がした。

 気が付くと少しの余裕を持って槍の穂先がスライムの体を貫通した所だった。

 上手く弱点も攻撃できていたようで、スライムが消えて行く。

 スライムの突進してきた力と突き出した槍の力が合さって威力が出たみたいだ。



 恐らくさっきの感覚がスキルの効果なんだろう。スキルの補助は実感しつつも、動きを強制されることなく自分の意思で動かせた。

 こう、説明が難しいが、行動の選択肢が増えたような感じだ。

 おぼろげに動きやすい動作が頭に浮かび、その時の状況や自分の考えに合った動きに一番近くなるように体を動かす。そういう感じだ。

 さっきの突きも上手くできたが、まだ完璧には程遠い感じがする。普通はこういう事も分からないだろう。しかし、今ならどうすればもっといい動きができるかが分かる。

 スキルの効果を最大まで発揮させるには実際に戦って、経験して、より理想の動きに近づけないといけないんだろう。スキルはあくまで補助で上達するには努力あるのみということだ。

 ゲームだし楽しいから苦にはならないな。どんどん戦って動きを良くしていこう。



 それから緑のカエルや大きいミミズのような魔物と戦った。どちらも中型犬ほどの大きさがあり気持ち悪かったし、色が保護色になっていて面倒だった。

 カエルは舌をムチのようにしならせて打ってきたり、謎の液体を撃ってきたりした。当たらなかったので分からないが草が少し溶けていたから酸攻撃なんだろう。ジャンプするので狙いが定めづらかったが、攻撃はほとんど正面にしか来ないので避けて突いてを数回するとすぐに倒せた。

 ミミズは地中からいきなり出てくるので最初は少し驚いたが、慣れれば地面の振動で大体の場所が分かったのでそれはらは特に苦になることもなかった。攻撃も元々地中にいる生き物を食べている魔物なので絡みついてきたりして邪魔をされるだけだったのも大きい。ただ、地上に出ることが少ないので中々倒せなかったり、逃してしまったりした。



 忘れかけていたが今はクエストも受けている。クエストはHランクのものが3つでそれぞれ、グラススライムの粘液を10個以上、グラスフロッグの肉10個以上、グラスワームを10匹以上討伐だ。

 これはさっき戦っていたスライムとカエルとミミズだ。クエストで名前を知ったせいか、表示で見てみると名前がちゃんと表示される。その他にも戦った中で知った弱点や特徴、攻撃方法なんかも追加されていた。

 ちなみにクエストの討伐数の確認は、何か証拠がなくてもギルドカードがあればできるらしい。

 後はこのまま条件が満たせるまで戦うとしよう。



 その後も、槍だけでなくガントレットを着けてグラスフロッグと戦ったりして、30分ほどで目的が達成できたので街まで引き返すことにする。

 グラススライムは粘液しかドロップしないようなのですぐに終わったし、グラスフロッグも肉はよくドロップするのですぐに終わった。他にも酸袋をいくつか手に入れていた。

 グラスワームは使えるものがないのか何もドロップしなかった。



今回の戦いでキャラレベルが3に、スキルのレベルは『表示』、『槍術』が3に『格闘術』が2になり、今回新たに『ダッシュ』を手に入れた。たぶん場所を移動したり、魔物を見つけると走っていたからだろう。街に帰るときに行きよりも心なしか走りやすくなった。

 レベルがあがったことでステータスポイントが20手に入ったが今のところステータスに不満はなかったので今後強い敵と遭遇したときにでも割り振ろうと思う。

 すこしダメージを負ってしまったが半分も削れてないしある程度は自然に回復するので問題ない範囲だ。


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Name:ハクト

Lv:3


HP:100/160


VIT:16

STR:18

DEF:16

AGI:16

DEX:16

INT:16

MND:16


ステータスポイント:20

所持金:5000G


【スキル】:『表示Lv3』、『アイテムボックスLv3』『格闘術Lv2』、『槍術Lv3』、『調理Lv1』、『ダッシュLv1』

【装備】:布のシャツ、布のズボン、革の靴、布の下着、革のガントレット

【称号】:



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