第15話 15

「氷息!」


雪オカマが攻撃を仕掛ける。


「燃えろ! 火の妖刀! 氷斬り!」


築の火の刀が氷を切り裂く。


「私の雪が!? に、人間の分際で!?」

「人間で悪かったな。だが、人間に斬られる程度ってことだ。」


雪オカマと築の戦いは互角だった。


「悪いが長引かせる気はない。」

「はあ? おまえなめてるのか? アホ―。」


蛍はアホガラスと戦っている。


「おまえの脳天を砕いてやる! アホ―。 飛翔鴉。」


アホガラスは羽を羽ばたかせ、空高く舞い上がる。


「死ね!アホー。墜落鴉。」


アホガラスは短刀を構え猛スピードで蛍を襲う。


「・・・。」


蛍は特に構えることはしない。


「もらった!アホ―。」


アホガラスの短刀が蛍の頭を襲う。


「なに!? アホ―。」


間一髪の所で蛍がアホガラスの短刀を蛍光刀で防ぐ。


「脳天を砕くと言えば、俺は頭上だけ注意すればいいからな。」

「しまった!? アホ―。」


アホガラスは自分が失言したことに気づく。


「悲し過ぎて、蛍光刀が光っている。」


アホガラスのアホさが悲しくて蛍の刀が光っている。


「いつ蛍が光るか知っていますか?」

「知るか!? アホ―。」


蛍は技を繰り出す構えに入る。


「悲しい時に光るんですよ。夏の世の光!」


蛍の必殺の一撃は無数の蛍がきれいに飛び交う。


「俺がやられるなんて!? アホ―。」


蛍はアホガラスを倒した。


「殺しはしない。楓の居場所や詠のことを話してもらうぞ。」


蛍はアホガラスの命を取らなかった。


「さて、大道芸人は頑張っているかな。」


蛍は築の方を見る。



「いけいけ! 築! 押せ押せ! 築!」


桜の応援はうるさかった。


「やるな! 人間のくせに!」

「そっちこそ! 女のくせに!」


火の築と雪女の雪オカマの相性はお互いに最悪だった。


「お、お、女!?」


雪オカマは顔を赤らめ動揺した。


「今まで雪女はいるからとい理由で、雪オカマとして屈辱的な扱いを受けてきた私が、遂に女扱いされる時がキターーーーーーー!!!」


雪オカマは猛烈に感動していた。


「おい、興奮するのはいいが、体が溶けているぞ・・・。」


雪オカマの冷たい体は感動の熱気で溶けていた。


「キャアアア!? これもおまえの火の妖刀の力か!?」

「いや、何もしてませんって・・・。」

「卑怯者!? 私を女扱いして誘惑した隙に、私を溶かすという辱め。・・・許さないよ! 最後の力を振り絞って、私のキンキンに冷たい氷の中に閉じ込めてやる!」


雪オカマは被害妄想が激しかった。


「氷棺!」

「なに!?」


雪オカマの冷たい息は築の体にまとわりつき、一瞬で氷の中に築を閉じ込める。


「きれいな氷の棺だよ。・・・はあ、疲れた。」


雪オカマは疲れきっていた。


「築!?」


桜は悲劇的に悲しむ。


「疲れているところ悪いが、アジトまで案内してもらおうか?」


蛍は雪オカマに迫る。


「誰が教えるか。私にもオカマのプライドがある。」


維持を張る雪オカマ。


「なら、殺す。」


蛍は戦闘態勢に入ろうとした。


「そいつは俺の相手だ。」


その時、氷の棺の中から築の声がした。


「火爆!」


氷の棺の中から爆破し、辺りに氷が飛び散った。


「な、なんて奴だ!? 氷の棺を爆破しやがった!?」


疲れ果て動けない雪オカマは人間の執念を見る。


「これで相打ちだな・・・。」


築は力尽きて地面に倒れ込み意識を失う。


「築!?」


桜は築を心配する。


「桜さんは、築の手当てを。」

「蛍?」

「ここからは俺一人で行きます。必ず楓を助けてきます。」


蛍は鎌倉大仏を目指す。


つづく。

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