戦場を旅する兵士

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 プロローグ

墜落

「本当に戦争なんて起こってるのか?」


 俺はそう呟いた。そうでもしないと不安だったからだ。本当にこの輸送機が向かう先に戦場が有るのか。そしてあの侵略者共が本当にいるのかと。


「さぁ?行けば分かるでしょ。」


 あぁ、コイツは誰だっけ。名前覚えてないな。まぁどうでもいいか。どうせ考えた所で特に何も変わらないし。


 着くまで特にする事は無いし少し寝るか。



¤



 目が覚めた。どうも嫌な予感がする。自慢じゃないが、俺の嫌な予感はほとんど外れた事は無い。一応準備はしとくか。


 突然銃にマガジンをセットし始めた俺を見て何人かが訝しげな視線を向ける。その内の一人が俺に向かって声を掛ける


「おい?いきなりどうしたんだ?突然銃の準備をし……は?」


 俺はそいつが見ている方向に顔を向けた。

 そこには窓があった。その窓の向こうには何か顔のような物が張り付いていた。


 あぁ、あれは見た事がある。映像で見せられた「侵略者」の顔に当たる部分だ。つまりあれは敵だ。俺はその顔のような物に向かって、躊躇う事無く引き金を引いた。


バンッ!


「ギョォアァァァァア!!」


 聴くに耐えない様な悲鳴を上げて侵略者は落ちて行った。


 侵略者の身体は映像で見せられた通りの全身に棘の生えた二足歩行するカエルの様だった。ただ、映像と違うのは、背中にコウモリの様な翼が生えていた事だ。


 その悲鳴が合図になったのか、輸送機の窓という窓に侵略者が張り付き、長く伸びた鋭い爪で窓を破壊し始めた。


 「おい!窓に張り付かれてるぞ!」

 

 「窓から離れろ!」

 

 「シャァァア!」


 「え?な? うぎゃあぁぁあ!」


 「ギュァァアア!」


 「うわっ、来るなぁ!止めろぉ!」


 上官が叫ぶが、既に何人かは爪で串刺しにされており、他の兵士は殆どがパニックに陥っていた。


 俺はひたすら侵略者に向けて銃を撃っていた。しかし、輸送機が下を向いていたのに気が付いた。操縦席の方を向くとパイロット2人が爪で頭を貫かれて操縦桿にもたれ掛かっていた。


 あぁコレ死んだなと思いつつ、侵略者の頭を撃ち抜いた。そして俺の意識は途切れた。

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