第60話 祈りと、羽化

※最初は、三人称視点。

 後半は、ヒロイン・幸希の視点となります。




「――はぁ、……はぁ、くっ」


「…………くぅっ」


 幸希達がエリュセードの地にて、セレネフィオーラの器を支配している災厄と対峙していた頃……。

 どこともしれぬ、無数の煌めきの下……、二人の男性らしき影が息を乱し、枯れた花々の褥に這い蹲りながら、その指先を震わせていた。

 

「……ふぅ。やはり、まだ事を成すには難しい、か。おい、どの程度まで干渉出来た?」


 ゆっくりと立ち上がり、漆黒の髪を掻き上げながらもう一人に問う青年。

 地に膝を屈したまま顔を上げられずにいた蒼髪の青年だったが、呼吸が完全に落ち着いたものへと変わってから、彼はようやく顔を上げて、もう一人を見上げ、言った。


「希望を……、託せるよう、力を尽くしたつもりだ。お前の方は?」


「時間が限られていたからな。とりあえずこっちは」


「まさか、一撃必殺でぶん殴るという物理をやらかしたんじゃないだろうな?」


「はっ! 生身で行ったわけじゃないんだ。波動でやったんだから、物理じゃないだろ。私の仕事にケチをつけるな」


「後で拳骨だ。覚悟しておけ。それで? 成果は?」


 すでに一発目の制裁が漆黒の髪の青年の頭に大きなタンコブとして表れているのだが、どうやらそれで済ます気はないらしい。

 殴られた青年は自分のタンコブを撫で擦りながら、色彩の感じられない大地をもう一人の青年と共に歩き始め、美しく光り輝く星のひとつに向けて手を伸ばした。

 その瞬間、蒼髪の青年が短く呟いた低い音に共鳴したかのように、星のひとつが形を変え、巨大なひとつの紋様となって彼らの間近に迫ってくる。

 

「次に進める手は打ったが、……目を覚ました時に今の自分ごと忘れてるか、ある程度思い出すか、そのどっちかだろうな。あ痛ぁっ!!」


 適当な回答を寄越す漆黒の髪の青年に、蒼髪の青年が小さな青筋を浮かべながらそのふてぶてしい頬をぐにぃっと引っ張る。痛い痛い痛い!! と、傍目にはコミカルなやり取りが行われているが、……彼らの心に、余裕など、ない。


「くそぉ……っ。多分、多分、大丈夫だ。殴る時に、ちゃ、ちゃんと、『修復』もしておいたっ。あれで何も思い出さず、ぼけーっとしてるようなら、……全部、終わりだ」


「……そうか」


 二人で肩を揃え、目の前に見据える『現実』。

 自分達には見えるが、『彼ら』には見えない存在。

 いや、『こんな物』は直視などしない方が、……心の安寧を保てる。

 自分達とて、この現実から幾度背を向けたいと、弱い考えを持った事か。

 だが、それでも逃げを選ばない自分達の足に感謝したいと、そう、思う。

 使命や役目に縛られているから、ではなく、、愛おしき全ての為に、この心は立ち向かう事を選び続けている。

 蒼髪の青年は優し気な美貌に強き意志の光を、決して折れぬ決意を宿し、忌まわしき、いや、その向こうにある愛しき存在から背を向け、歩き出す。


「休んでいる暇はない。行くぞ」


「へいへい。休みなしのオーバーワークだが、まだ出来る事がある以上、私達も全力を尽くすべきだろうからな」


 蒼髪の青年に続き、漆黒の髪の青年が早足でその隣に並ぶために歩みを進める。

 そう、休んでいる暇など存在しない。


(まだ、運命は定まっていない……。負けは、確定していない)


 一陣の風さえ吹かぬ場所。星々の見守る枯れ果てた大地……。

 賑やかな声や鮮やかな彩りに恵まれていた楽園……。

 自分達が愛した、いや、今でも愛してやまないあの日々が戻ってくるなら、幾らでもこの身を、魂を削り尽くしてもいい。漆黒の髪の青年が諦めではなく、自分自身を鼓舞する笑みを浮かべながら歩むその先には……、暗い、暗い、存在の全てを呑み込んでしまうかのような、闇が、広がっていた。

 そして、星々が見守るその視線から見下ろした彼らのいる大地の周りにもまた……。

 逃げ場のない、空虚な黒がどこまでも……、どこまでも、寂しそうに、凪いでいた。




 


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ――Side 幸希



「その器はお前のモンじゃない!! さっさと出て行きやがれ!! クソ野郎!!」


『ふふ、そうよ。これは私の身体じゃない。魂を失い、置き去りにされた、お母様の器……。ずぅーっと、一緒だったのよ。私達とお母様は、あの場所でずぅーっと』


 セレネフィオーラ……。原初の世界で紅き石より生まれ、災厄の母胎となった女神。

 お父様の手によって回収された彼女の魂は、ユキとして生まれ変わり、そして、今は幸希として共に在る。

 原初の記憶を持たない私にとって、まだ彼女は他人にしか思えない存在だ。

 だから、災厄が浮かべている艶やかな笑みを見ても、彼女が本当はどう笑っていたのか、それを思い出す事は出来ない。――なのに。


「だ、……めっ」


「ユキ?」


 レヴェリィ様と対峙している災厄を見つめながら、唸るように呟いた私の異変に気付き、ルイヴェルさんが眉を顰めながら顔を覗き込んでくる。

 駄目、……だめ、……その器は、――私のっ。

 記憶がなくても、本能というものが働いているのかもしれない。

 私の、はじまりの身体であるセレネフィオーラを災厄の好きにさせている事が、堪らなく悔しい。

 自分という存在の尊厳を穢されているかのような、蹂躙されているかのような、そんな屈辱感さえ感じる。

 それは、……その器は。


「……り、物、なのっ。その身体は、私のっ、大切なっ!!」


「ユキ!! ユキ!! 落ち着け!! あれはセレネフィオーラの器であって、今のお前の器じゃない!! たとえ害されようと、お前が死ぬ事はない!!」


「駄目っ!! 駄目っ!! ルイおにいちゃん、放して!! あの器を取り返さないとっ!! 取り返さないとっ、――希望が消えてしまうっ!!」


「ユキっ?」


 ルイヴェルさんに動きを押さえられながら、かつての器に向かって必死に向かって手を伸ばす。

 災厄が永い永い時を共にしたという、セレネフィオーラの器。

 負の力によって穢され、今は玩具(おもちゃ)のように弄ばれ、利用されている哀れな存在……。

 私の思考ではなく、内側で息づいている私の魂が叫ぶ。

 早く、早く、セレネフィオーラの器を取り戻し、災厄の魔の手から解き放て! と。


「……っ!」


 あの器には、『大事な人達』の想いや祈りが込められている。

 希望を託され、――『あの場所』から、『送り出された』。

 私が知らないはずの、記憶にはないはずの『情報』が、怒りを主軸とした感情に混ざって、湧き上がってくる。

 ゼクレシアウォード王国で、キャンディーとして在った時……。

 神としてのユキの記憶が表に表れ、キャンディーから本来の自分に戻っていった時の記憶と重なる。

 だけど、違う、とも感じている。

 私自身の意思も確かに存在しているけれど、その中に、誰かの命令のような、強制的な意志が感じられる。

 セレネフィオーラとしての記憶……? 違う。

 貴方は、誰? その気配はまるで、今までここに居た誰かの残滓を思わせるもの……。

 だけど、不快感はない。私の行動を助けようとしてくれているかのように、心強いと、そう感じられるから。

 

「放してぇええええ!!」


「くっ!!」


 絶対に果たさなくてはならないという使命感のような衝動。

 本来なら、人を傷付ける事を嫌う気持ちさえ消えて、私はルイヴェルさんを傷付ける事も厭わず、自分の動きを押さえこんでいる『障害』に問答無用の力を放ち、セレネフィオーラの許へと飛んでいく。

 レヴェリィ様が舌打ちをし、ルイヴェルさんに罵倒の声をぶつけても、私には聞こえない。

 目的はひとつ。セレネフィオーラの身体の奪還。

 だけど、神の力を纏いながら突っ込んでくる私を、災厄が両手を広げて迎え入れるわけがなかった。

 高らかな笑い声を上げ、黒紫銀の光を無数の蛇を思わせる形に変えて、攻撃を放ってくる。


「ユキ!! やめろ!!」


「お前まで捕まっちまったら、ソル兄ぃにどやされるんだろうが!! このじゃじゃ馬がぁっ!!」


 ルイヴェルさんとレヴェリィ様の叫びが闇夜に響く中、私は一心不乱に災厄の攻撃を避けながら、両手に神の力で作った鎖を纏わせ、セレネフィオーラの器一直線に急降下していく。


「――ふふ、私だけを見てくれるのは幸せだけど、いいの? こんな事をしていて」


「――っ!?」


 自分の手足を使わず、術による攻撃に徹していた災厄がその手に剣を持ち、私に向かって真っすぐに襲いかかってきた瞬間。避ける反動で振り向くのと同時に、沢山の苦痛の声が叫びとなって私の耳に届いた。

 私を助けようと動いてくれていたレヴェリィ様とルイヴェルさん以外の……。

 アレクさんを相手に刃を交わらせていた人達が、多勢に無勢の条件を覆され、巻き起こった黒紫銀の風刃に襲われ、劣勢に追いやられていく。

 その中心にいるのは、アレクさんの傍に現れたのは――。


「レガフィオール……!」


 唯一、攻撃を全て回避したフォルメリィ様が、予想していた、とでも言いたげに、その名を口にした。

 セレネフィオーラの器が利用され、現れたその時点で……、彼の出現も視野に入っていたのだろう。

 レガフィオール……。セレネフィオーラと同じ生まれを持つ神で、カインさんの、最初の器。

 

『……さっさと邪魔なものは片付けろ。貴女の性格や行動は、効率を悪くさせてばかりだ』


『あらあら、ごめんなさいねぇ。だけど、やっと会えたお母様と沢山お喋りがしたいとそう思うのは、子として当然でしょう? 私に任せてばかりで、ぐーすか寝てるしか能がない、お寝坊さん』


 親し気な様子で微笑むセレネフィオーラの器だけど、レガフィオールの器に憑依している……、多分、別人格? の災厄から遠距離用の攻撃を向けられると、自分も同じように攻撃魔術を使い、やり返している。

 ……同じ災厄なのに、仲が悪い、のだろうか?

 いや、それ以前に、災厄が幾つもの人格を持っている、とは考えていなかったから……。

 男性の人格……、に思えるのだけど、複数の神を相手に一瞬で攻撃を加えたその威力を目撃した私は、十二の災厄など、彼らからすれば取るに足らない存在だったのだと思い知らされた。

 フォルメリィ様がいてくださるから、それほど甚大な被害には繋がっていない。

 傷を負いながらも、ルディーさん達は敵を仕留める為の陣形を作り出し、すぐに対抗出来る準備に入り始めた。


『ねぇ、言ったでしょう? お母様。私の事だけ見ていたら、目を離している内に大事なものを失くしてしまうのよ? あの御柱のように』


「その器も、アレクさんも、貴女には何も渡さない!! 何ひとつっ!! 絶対に!!」


『じゃあ、お母様をちょうだい? 何も奪わない代わりに、私達の大好きな、たった一人の貴女を』


「え?」


 剣を手に災厄と打ち合い、神鎖を放とうとした時だった。

 嬉しそうな……、いや、まるで、美味しそうな御馳走を目にした猛獣が、今から大口を開ける瞬間のような、その歓喜に染まった表情。

 全身に、魂に駆け抜けた凄まじい悪寒。

 喰われる……!! 本能的な警鐘が激しく鳴り響き、私に退却を促す。

 だけど、対処が間に合わなかった。

 

『ふふ、ふふふふふふ。もう、時間をかけてお母様を目覚めさせるのには飽きてしまったの。あの御柱が死んだと思えば、一瞬で覚醒すると思ったのに……。ねぇ、そんなに向こう側がいいの? 子である私達よりも、大切なの? ねぇ……、お母様』


 声だけが、災厄の愛おしそうな、寂しそうな声だけが、聞こえる。

 何も見えない。真っ暗で……、自分の姿さえ、確認する事が出来ない。

 

「……っ」


『お母様と遊びたくて、遠回しな方法ばかり試してしまったけど、やっぱり駄目ね。あの子の言う通り、効率が悪すぎたわ。――こうすれば良かったのよ』


 愉し気だった災厄の声が一気に冷たくなり、私の目の前に見たくない光景ばかりを映し出す。

 大好きな人達との幸せな日々を塗り潰し、不幸と破滅ばかりが私の心を襲ってくる。

 私以外の皆がその身を引き裂かれ、偽りだとわかっているのに、生々しい匂いや、悲鳴が、本物であるかのように響いては、目の前に死体の山を築いていく。


「くぅっ……!!」


 確かに簡単な方法だ。

 初歩的な精神攻撃だけど、昔の私だったら、きっと耐えられなかった。

 今だって、大切な人達が泣き叫び、凄惨に事切れていく姿は耐え難いものだから……。


「負け、……ないっ!」


 私の愛する人達は、ここにはいない。

 積み重なっていく屍は、人形のようなもの。

 たとえ、本物そっくりに見えたとしても、どんなに、私の心から悲しみの紅(あか)が噴き出したとしても、簡単に折れてやるわけにはいかない。

 

「ふふ、……お母さんの大好きなファンタジー小説をいっぱい読んでおいて良かった」


 天上に在った頃の私では駄目でも、現代日本で育った幸希なら、この手の精神攻撃を最初から知っているから、そう簡単には落ちない。ふふ、小説だけでなく、友人おススメの結構凄いゲームだって、プレイしてきたんだから、この程度なら、まだ我慢出来るっ。

 大丈夫。大丈夫……。平常心を掻き集めて、神の力を上手く使い、この場所から、必ず抜け出してみせる。

 私の想いに呼応し、白銀の光が見えなくなっていた私の姿を縁取り、闇の中に姿を浮かび上がらせていく。

 よし、身体の感覚も戻ってきた。

 私はぱんぱん! と、自分の頬を両手で叩き、喝を入れてから力強く叫ぶ。

 

「私は、貴女に呑まれたりなんかしない……!!」


 これが災厄の放った力の中なら、自分の力を極限まで高め、膨れ上がらせてから打ち破ってやる。

 強く、強く、一片の恐怖など感じさせて堪るものかと、私が念じながら神の力を高めていると、自分の内側から手助けしてくれるかのように、別のあたたかな力の気配を感じた。


「これは……」


『お前がお前で在る為に、未来に希望を繋ぐ為に、もう一度、寄り添おう』


 誰かが、私のすぐ後ろに立つ気配がした。

 前に差し出していた両手に、優しい、優しい、……涙がこみ上げてくるかのような、懐かしいぬくもりが重なる。嵐のように襲いかかってくる望まぬ最悪の光景が消え去り、男性の声が静かに響く。


『今、お前を囚われの身にとしている力は、存在は……、本来、お前に従うべき存在(もの)』


「貴方は、だ」


『己(おの)が存在の意味を、今一度、自分自身に問え』


 質問には一切答えてくれず、私とその人の両手の中で、神の力がどんどん大きく、輝きを増していく。

 だけど、途中で気付く。私の神の力の中に、別の力が介入している事に。

 災厄の力が私の行動を阻む為に介入したのかと思った。

 だけど、これは違う。この力は……、今までに感じた事のなかったこの力は、私自身のものだ。


『幸いを。我が愛しき希望の子らよ』


 私を自分の子供のように愛おしむ響きを含んだ低い男性の声が耳に優しく残った後。

 自分の両手の中で膨れ上がっていく新たな力の気配に意識を澄ませ、私は瞼を閉じた。

 頭の中に、魂の記憶がめまぐるしく渦巻いては遥か過去へ過去へと遡り、私の存在が生まれた日へ導いていく。

 はじまりの世界で生まれたあの日ではない、もっと、もっと、遥か遠い記憶の彼方へ。

 私と、いえ、私とカインさん、セレネフィオーラとレガフィオールが運命付けられた『役割』。

 私達と同じように、『あの場所』には、沢山の『仲間』達がいた。

 時空が生まれる度に、『彼ら』の手によって送り出されていく『仲間』達。

 皆、離れる事を寂しがっていたけれど、最後には笑って別れを言えた。

 だって、大事なお仕事だから。生まれてくる皆の幸せを守る為に頑張れる、私達にしか出来ないお仕事だから。

 時空と世界の誕生により生じる、避けられない種(しゅ)の誕生。


「…………」


 災厄は、本来、私に従うべき存在(もの)。私が、この手で扱い、――道を定める存在(もの)。

 そう、自分達にしか出来ない役割を果たす為にこの背を押され、旅立った。

 後(のち)に名付けられる、レガフィオールと共に。

 生まれ来る命の、皆の幸せを守る為に――。

 

「その為に……、私は、ここに、在る!!」


 大事な存在を守る為に、生まれくる『種』の道を『幸い』へと導く為に。

 託された。希望を、未来への光を、絶望に染まりゆく『全て』を、希望で満たす為に。

 

「――ッ!!」


 抵抗してくる災厄の力を押しのけるのではなく、滅ぼすのではなく、正常な道を歩むように正し、光へと変えていく。


『何故……っ!! 何故っ、『外』からの干渉はっ、いやっ、いやぁあああああああああああっ!!』


 自分の存在を変えられたくないと望む災厄がその力を強め、私を自分の中に閉じ込めようと抑え込んでくる。

 災厄の力は強い。本来であれば、ある程度の負荷はあっても、私の役目を阻む事は出来ない。

 だけど……、この災厄達は、普通とは異なる種(しゅ)だ。

 その力の強さは侮れず、徐々に闇の中へと自分の姿が消えていくのがわかる。

 

「負け、られ、……ない、のっ!!」


 今、ここにはもう、誰もいない。

 ここで私が災厄に負けて、本当に呑み込まれてしまったら、この世界は、時空は終わってしまう!

 大丈夫、大丈夫。女は根性だって、お母さんが言ってた。

 根性を総動員して、絶対に帰るんだ、絶対に打ち勝つんだ、と、そう強く思い、前に進み続ければ、必ず!!


『ユキぃいいいいいい!!』


「この声は……っ」


 禍々しい災厄の闇に全力で抗っていた私が見たのは、眩い輝きを放ちながら叫ぶ、『対(つい)』の姿だった。

 力いっぱい差し伸ばされた右手。あぁ、まるで、禁呪の時に私がそうしたあのシーンの再現のようだ。

 

「今、戻ります!!」


 私を溺れ込まそうとする、どろどろとした災厄の沼。

 外から送り込まれてきた光が私に力を与え、ふわりと身体を闇の中に浮き上がらせる。

 道は一直線。何に囚われる事もなく、帰ろう、皆のいる世界に。


『ァアアアアアアアッ!! 邪魔を、邪魔をスルナァアアアアアッ!!!!!!!!』


 災厄の醜く爛れきった絶叫を耳にしながら、私は在るべき場所へと飛び立った。

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