第43話 確認と逃亡

 ――Side 幸希


「行くよ、ユキちゃん」


「はい……」


 ウォルヴァンシア王国の片隅にある、深い、深い、森の奥。

 眩い太陽の恩恵を受ける地上にあって、まるで別世界のように闇が広がる場所。

 不安を煽るような落ち着かない静寂と、湖が広がる寂しげな光景。

 私と、軽装に身を包んでいるレイフィード叔父さんが二人で一緒に湖の中へと飛び込むと、表面を見ているだけではわからない、水中の酷く淀んだ気配を感じる事が出来た。

 術によって身体を保護しているから、水に濡れる事も、息を止める必要もない。

 だけど……、この、全身にべったりと張り付いてくるような、重たい気配。

 レイフィード叔父さんと手を繋ぎ、底へ向かって潜り続けて行くと……、どんどん、そのおぞましい何かを強く感じられるようになってくる。

 在る。この水の奥底に……、エリュセードを破滅へと導く、忌まわしき――。


「ユキちゃん、邪魔なものを払うよ」


「はいっ!」


 水底で揺らめく大量の水草や苔。誰も知らないこの深淵には、魚一匹さえ居はしない。

 湖の住人達に気を遣う必要はないと判断し、レイフィード叔父さんは視界を鮮明なものとする為に力を揮った。真紅に輝く神の陣が汚れきった湖底の隅々にまで広がりを見せ、この場所に留まり溜まっていた瘴気と邪魔な物を消し去ってゆく。

 光が役目を果たし消え去ると……、後に残ったのは、地の深淵に抱かれし、――巨大な目玉。

 ぎょろりぎょろりと蠢く、濁った黒銀の色合い。


「災厄の種は、あらゆる形を持って孵化の時を待つ存在……、か。ふぅ……、美しい物を期待した、とは言わないけど、……もう少し可愛げが欲しと思わない? ユキちゃん」


「ん~、どちらにしても、悪い物に違いはありませんし、諦めた方が良さそうですね」


「はぁ~、だねぇ。確認だけして、さっさと帰るのが最善、か」


 お父様が言っていた、エリュセードに根付いた『災厄の種』。

『悪しき存在(モノ)』との戦いが起こったあの時代……。

災厄の女神、ファンドレアーラの一部である『ディオノアードの鏡』が持ち出された事により、地上に眠る種へと注がれてしまった力。

 それが長い年月を経て成長したのが、眼下に見えている……、恐ろしい気配を滲ませている目玉だ。私とレイフィード叔父さん以外にも、エリュセードに根付いている種の状態を確認しに行った人達がいるけれど、それぞれ目にしている種の形は違う。そう、お父様が言っていた。

 今、この種をひとつ浄化したところで、何も変わりはしない……。

 エリュセード中に散らばって息を潜めている『災厄の種』は、すでに世界を色濃く、深く、破滅の力によって侵食し、アレクさん達御柱の方々の力でも……、どうにも出来なくなっているのだから。その上、『災厄の種』は文明や生命(いのち)在る者と同じように、進化を辿っている。

 それが、種から生まれたこの姿だ。


「まったく……。父さんが暢気にぐーすか寝てるから、こういう事になっちゃうんだよねぇ」


 茶化すような声音で溜息を吐いたレイフィード叔父さんだけど、心の声は違う。

 悲しみに、衝動に身を任せ、自分達の事しか考えられなかった私達……。

 後に残された家族や、大切に想ってくれている人達の事を思い遣れなかった。

 それが、多くの人の運命を、この世界さえ危うくしてしまうとは、気付かずに……。


「無駄かもしれませんけど、一応、浄化しておきましょう」


「うん……、そうだね」


 互いに後悔を口にしないのは、意味がないと知っているから。

 今必要なのは、自分自身の情けなさを、無力さに涙する事じゃない。

――前に進むための勇気と、覚悟。それを胸に抱く事が、何よりも必要な事。

私とレイフィード叔父さんは頷き合い、手を強く握り合って浄化の術を行使し始める。


『グ、……ググッ、……グ、ァァッ』


 孵化の時まで眠りに就いているようなものだとしても、決して無力なわけじゃない。

『災厄の種』たる巨大な目玉から苦しそうな呻き声が漏れると、そのぎょろぎょろとした動きが速くなり、湖底全体が地鳴りを立て始めた。

 私達の周囲を小さな無数の目玉が取り囲み、地中からは鞭のように荒ぶる蔓のような物が襲い掛かってくる。けれど、その攻撃の手は私達を守る結界の力により弾き飛ばされ、触れた先から存在を浄化されていく。


「望まれぬ存在(モノ)よ……。汝のあるべき場は、無と知れ」


 輝きを増していく真紅の光と、白銀の光が螺旋のように絡み合い、鋭き槍身を纏った直後――。

『災厄の種』はその中心を深く貫かれ、おぞましい絶叫が響き渡った。

 一時凌ぎの浄化だけど、場が穢れたままなのを見過ごして帰る事は出来なかったから……。

 澄んでいく湖の様子を眺めながら、ほっと息を吐く。

 

『グァ、……グァ、ァァア、……ナ、ゼ、……ナ、ゼ! カア、サマァ……!!』


「――っ!!」


 最後の悪足掻きのように放たれた黒銀の蔓。

 結界の力によってボロボロと崩れてゆくそれを息を呑みながら見ていた私は、ざわりと嫌な感覚が心を脅かすのを感じていた。

 ――母様。そう呼ぶのは、やはり、私がセレネフィオーラの生まれ変わりだから。

『はじまりの世界』を滅ぼした、『災厄の種』の母胎。

 その縁は絶える事なく、今に続き……。ずっと、私の存在を求め続けている。

 

『カァ、サマ……ァ。チガ、ウ、……チガ、ウゥ』


「え?」


『チガ、……ゥ。マチガ……、カエリ、……タィ』


 何を言っているのか。……何が、違うの? カエリタイ、って、……どういう。

 消えゆく『災厄の種』が、まるで助けを求めているかのように見えた。

 アレクさんの中に封じられていた『ディオノアードの欠片』が、……そう、していたように。

 


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふぅ……、一仕事完了~。ユキちゃん、ちょっと近くの町にでも寄って、美味しい物でも食べて行こうか?」


「…………」


 湖から出た後、私は森を出ようとしているレイフィード叔父さんの後をゆっくりと歩きながら、物思いに耽っていた。あの、目玉の姿をしていた災厄が言い残した、新しい言葉の意味を。

 孵化しても、繋がりが消えない……、セレネフィオーラ(母胎)と、災厄の縁(えにし)。

『母様』、『違う』、『カエリタイ』……、繋がらない意味。私に求められていた、何か。

 今知っている情報から答えを得ようとしても、『母様』以外の言葉には、何も見出す事が出来ない。やはり、その意味を知る為には、お父様に尋ねる事が近道となるだろう。

 そう決めて顔を上げると、あれ……、目の前にレイフィード叔父さんのムスッとしているような顔が。


「ユ~キ~ちゃ~ん?」


「な、何です、かっ?」


 いつの間にか、考え事に没頭し過ぎて歩みを止めていたらしい。

 レイフィード叔父さんの背後でパッカパッカと無言で茂みの方に消えていく鹿のような生き物を視界に映しながら、一歩……、後ろに足を引く。


「な~に~を~、考えていたのかな~?」


「え、えっと……、な、何でも、ありま」


「あるよね」


「うっ」


 私とお父様しか知らない、セレネフィオーラとの関係。

 レイフィード叔父さんに話してしまえば、きっとまた、凄く心配をかけてしまう事になるのだろう。今でさえ、私は破滅と不幸をもたらす、忌むべき女神としてエリュセードの神々に疎まれているのに……。けれど、必死に誤魔化そうとしても、叔父兼兄であるレイフィード叔父さんを騙せるわけがなかった。古木の幹に追い詰められ、まさかの壁ドンならぬ、木ドン! で迫られてしまう!

 ニコニコの愛想たっぷり笑顔でも、ブラウンの瞳は怒りに燃えている!!

 レイフィード叔父さん、こんな心臓に悪いイベントいりませんからぁあああああああっ!!


「ユキちゃん、ちゃ~んと……、教えてくれるよねぇ?」


「ひ、ひぃいいいっ!! か、勘弁っ、勘弁してくださいっ!!」


 昨日は皆さんがいる場で話しそうになってしまったけれど、あの後お父様に言われたのだ。

 エリュセードの危機で頭がいっぱいの皆さんに動揺を与えてはいけない。

 出来る事なら、最後まで黙っていろ、と……。


「ふぅん……。大事な家族に、ユキちゃんは隠し事をするんだねぇ……。へぇ……、あの二人がどうなってもいいんだ~?」


「うぐっ!!」


 保留にされている、アレクさんとルイヴェルさんへの怒り。

 そういえば、あの二人を人質に取られているんだったと思い出した私は、笑顔と冷たい瞳に見下ろされながら、……十秒後に白旗を上げる事になった。


「――災厄の、母胎?」


「はい……。『はじまりの世界』が滅びる原因となった『災厄』を孵化させたのが、セレネフィオーラ……、私が、天上で生まれる前の、器としていた女神だったんです」


 全てを話し終えた後、レイフィード叔父さんは周囲に集まっていた小動物達を撫でながら、辛そうに俯いてしまった。優しそうなブラウンの双眸が、神としての色に、お父様と同じ真紅へと変わり、悲しみに暮れてゆく。


「ごめんなさい……」


「……謝る必要はないよね? セレネフィオーラという女神の件は、あくまで君が生まれ変わる前の話だ。それに、彼女は被害者でしかなく、誰も責める資格はないよ」


「私も……、生まれ変わる前の記憶がないので、よく、わからないんですけど……。さっき、『災厄の種』が言い残した言葉、覚えていますか?」


「うん。よくわからない事を言ってたね……。でも、そのひとつの意味は今わかった。『母様』というのが、セレネフィオーラの事だと」


 ぴょこんと膝の上に飛び乗ってきた子兎の白い毛並みを撫で、私は頷く。

『はじまりの世界』で起きた事に関しても話したけれど、……他人事のように感じられるセレネフィオーラの件は、ある者によっては無視出来ない厄介な重荷だ。

 かつて、十二の災厄を生み出した女神を思わせる、その存在よりも罪深き者。

 レイフィード叔父さんが涙を堪える様に私を見据える。


「ユキちゃん……。今僕に話してくれた事、誰にも、特に、エリュセード神族に話してはいけないよ」


「レイフィード叔父さん……」


「アレクにも、だ。僕も絶対に、誰にも話さないから……」


 わかっている……。この秘密は、大切な人達を悲しませてしまうだけでなく、私が、私自身をさらに追い詰める結果を招く、と。

 でも、私はもう罰を受ける覚悟を決めている。

 エリュセード神族からすればとんでもない話で、さらに私を憎む気持ちを煽ってしまう事になるのだろうけれど……、私の迎える結末はそう変わる事はないだろう。

 エリュセードを、この世界を窮地に陥れた罪人(つみびと)。

 私とレイフィード叔父さんは、事が終わった後に裁きを受けると、すでに来たるべき運命の瞬間を覚悟している。


「ユキちゃん、……話し合った時にも言ったけど、もう一度言わせてくれるかな」


「…………」


「シルフィールとユシィールの主は僕だ。創造主たる僕が、彼らの犯した罪を負う責がある。だから、罰を受けるのは僕一人でいい。君が道ずれになる事は」


「一緒に償います」


「ユキちゃん……」


 もう知られてしまったけれど、私は災厄の封じられている大神殿に向かう前、レイフィード叔父さんと二人きりで話をした。

 シルフィール達の罪を、主として背負う事。エリュセードが危機を脱したら、罰を受ける事。

 そして、……私に別の世界へと、今の内に逃げ延びてほしいと、レイフィード叔父さんに願われた事。姪を、妹を大事に想ってくれるこの人らしい思い遣りだった。

 だけど、それは出来ない。宝物のように扱われ、守られるだけのお姫様になんかなりたくない。

 大切な人を悲しませようと、私は、私が原因で起こった罪から、目を背けたくはないから。

 

「……僕達を裁くのは、御柱なんだよ?」


「……はい」


「アレクに、アヴェルオードに……、君を裁かせるのかい?」


「…………はい」


 ちゃんと考えた。自分を大切に想ってくれる人達に応える為には、逃げ延びる事が一番なのだろうと。……でも、その楽な道を、私の心は受け入れなかった。望まなかった。

 自分勝手だと、人の気持ちを考えていないと怒られても、無理だったのだ。

 罪人としてアレクさんの前に立つ時が来ても、彼の心に酷い傷を刻み付けるとしても……。

 

「逃げたくないんです。だから、一緒に罰を受けさせてください。お願いします」


「……アレクの気持ちは、どうするんだい?」


 向き合うと誓った。その約束をどうするのだと、レイフィード叔父さんは私の傍に座り直しながら尋ねてくる。変化を覚え始めたこの心……。色づき、花ひらく前に……、終わるのだろう。

 アレクさんに背を向ける選択をしてしまった自分を許せない気持ちはある。

 自分を好きだと言ってくれる人に、愛してくれる人に、私は酷い未来を突き付けてしまった。

 本当は、全てが終わってから……、覚悟を伝えるつもりだったのに。

 だけど、どちらの道を選んだとしても……、私はこのエリュセードと別れを告げる事になる。

 どちらにしても……、アレクさんとは、エリュセードの皆さんとは、お別れなのだ。

 それなら、彷徨う神として生きるより、罰を受ける方に身を置きたい。

 レイフィード叔父さんだけに辛い思いをさせたまま、一人だけ守られていたくはないから。

 結局……、私の自己満足だけで出来ている選択なのだ。


「僕は、アヴェルオードの事も、ルイヴェルの事も許してない。あの二人は、僕の大切な妹を奪った……。あの時の悲しみを、絶望を、怒りを、僕は忘れない」


「レイフィー……、レイシュ、お兄様」


「気に入らない、って、そう思うよ……。今でもアイツが、君を想っている事は。だけどね……、一部のエリュセード神族の仕打ちを思い出せば、君の首まで差し出してやる必要はないって、そう思うんだ。だから、この際妥協案でいきたいと思ってるんだよ」


「妥協、案……?」


「アヴェルオードに御柱の責を捨てさせて、君と一緒に逃がす」


「な、何言ってるんですかっ!! アレクさんにっ、アヴェルオード様にまで罪を犯させるなんてっ」


 正気の沙汰じゃない!! 

 アヴェルオード様はエリュセードの要。この世界の神々を率いる、大事な大事な神(ひと)なのだ。それなのに、レイフィード叔父さんの目に、冗談の気配は微塵もない。


「君一人で行かせてしまうと、先に心が壊れてしまう。なら、気に入らなくても、アヴェルオードか……、そうだね、ルイヴェルでもいいよ。君の身体も心も守って、辛い事を忘れさせてくれる存在なら、僕は幾らでも頭を下げる」


「無理です」


「ユキちゃん……」


「アレクさんは、エリュセードの御柱です。私の罪をなかった事にして一緒に逃げるなんて、そんな愚かな真似は、絶対にしません」


「なら、アヴェルオードに君を愛する資格はないよ。僕はね……、世界よりも、何よりも、君を最優先に考えてくれる相手にじゃないと、君を託せない」


 過保護の度を越し過ぎているレイフィード叔父さんを横目で睨み上げ、息を吐く。

 まったく……。何千年、何万年経っても、妹馬鹿が治らないんだから。

 

「レイシュお兄様。私は、私の事しか考えられない人は願い下げです。私が無事で、幸せでいてくれればいい、他はどうでもいい、……そんな人、絶対に嫌ですから」


 それこそ、レイフィード叔父さんの、レイシュお兄様の自己満足だ。

 家族として幸せを願ってくれる事には、感謝している。私だって、この人の幸せを願っているから。でも……、それはこの人の望みであって、私のものじゃない。


「僕だって、……僕だって、何もなかった頃はここまで思わなかったよ。だけど」


「嫌です」


「……ユキ」


 結局、私達はどちらも頑固で、動物達も怖がって逃げてしまう程の、無言の睨み合いを続けるしかなかった。――勿論、互いの間に妥協案など、最後まで出る事はなく。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ――Side アレクディース


『時が来れば指示を出す。それまでは、今まで通りに災厄の手先となっているアヴェル達の動向に注意を払っていろ。後は、そうだな……。この辺りでひとつ、各自息抜きでもしておくのが後々の為になるだろう』


 原初の父、ソリュ・フェイト様が暢気にそう言ったのは、天上での一件から翌日の事だった。

 エリュセードに根付いているという『災厄の種』の一部を確認しに行ってから、全員が王宮に戻ってきた、夕暮れの頃。

 レイフィード陛下と何かを話し合っておられる様子だったが……。

 結局、ソリュ・フェイト様は大事な用があると言って、王宮から姿を消してしまった。

 休んでいる場合じゃない、……と、そう思ったんだが。


「アレク、ゆっくり休んで来いよ」


「あぁ……。少しの間、面倒をかける」


「ははっ! 頑張りすぎの真面目な副団長を労うのに、面倒なんかねーよ。お袋さん達によろしくな」


「副団長、僅かですが、御家族の皆さんにこれを」


 馬上にいる俺に副団長補佐官のロゼが差し出したのは、持ち手付きの紙袋だ。

 中には菓子箱と、ロゼの実家であるカーネリアン茶葉店の品が入っているという話だった。

 休みまで貰った上に、有難い気遣いに頭が下がる。


「それじゃあ、行ってくる」


「ちょい待ち!」


 馬の手綱を取り、俺が王宮の入り口を後にしようとすると、ルディーがストップをかけてきた。

 俺の背後を、目を眇めてじっと凝視してくる……。不味い、バレたか?

 ロゼの方も冷ややかに俺の方を見上げ、ルディーが探るように見ている場所に視線を流す。

 バレるわけがない、と……、そう、思ったんだが。


「アレク」


「……何だ?」


「お前……、今、何か妙な術、使ってんだろ?」


「……何も、使って、ない」


「ほぉ~……、何も、か。ふぅん、……へぇ~、そっか」


 頼む。気付いていても、このまま行かせてくれ……!!

 切にそう懇願している俺の胸中を無視し、ルディーがロゼに命じた。


「ロゼ、――救しゅ」


「すまない……!!」


 その合図が出る寸前に、俺は手綱を操り行動に出た。

 ルディーとロゼなら、多少手荒な真似をされても受け身を取る事が出来る。

 信頼と申し訳なさを抱きながら引いた手綱の動きによって、白馬が両前足を高く上げて嘶く。


「うわぁあっ!!」


「ふ、副団長!!」


 ここで捕まるわけには、奪われるわけにはいかない……!!

 俺にだけ聞こえる背後の小さな悲鳴を耳にしながら、騒ぎ始める王宮警護担当の騎士達を蹴散らして一気に駆け抜ける……!!

 すまない、ルディー、ロゼ……!! 説教は戻って来てから必ず受け止めよう。

 そう誓いながら、俺は家族の住んでいる町を目指して王都を飛び出した。

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