本編第三章~第四章・簡易あらすじ把握版(初めての方・お忙しい方専用)

※アレクディース・ルート前の、本編、

『ウォルヴァンシアの王兄姫~淡き蕾は愛しき人の想いと共に花ひらく~』の、

ネタばれ把握版、第三章~第四章版です。

物語の把握にどうぞ。



 第三章のお手軽把握版。


 1・大成功に終わったガーデンパーティーの日から、また時が過ぎ……。

 アレクやカイン、ウォルヴァンシア王宮の面々と平穏に過ごしていた幸希は、ある日、不思議な夢を見る。どこかもわからない塔と、その地下の光景……。

 不思議な夢から覚めた幸希は、その日の朝、突然の変化に見舞われてしまう。

 肩より少し長めだった柔らかな黒髪が、一夜にして美しい蒼(青)色へと変化し、長さも一気に伸びてしまったのだ。

王宮医師の二人から診察を受けた幸希は、遠い昔、まだ幼い頃に、ウォルヴァンシア王宮医師のセレスフィーナとルイヴェル、そして、その父親であるフェリデロード家当主、レゼノスが幸希の記憶を封じる際に、魔力と共に封じた本来の髪色である事を告げられる。

封印の枷が緩んだ事により生じたその変化は、今のところ危惧すべき点はないと言われほっとした幸希は、その日の朝食の席で、他国の国王夫妻がウォルヴァンシアを訪れる事を聞かされる。

 人間の国である、ラスヴェリートの若き国王夫妻。

 ウォルヴァンシア騎士団長のルディーからも事前に、そのお国柄や国王達の事を聞かされる事になった幸希は、数日後……、城下町にて、衝撃的な出会いを果たした。

 街中でいきなり足への愛を叫びながら自分の足に縋り付いてきた銀髪ロングの男性と、その男性に強烈な蹴り技をお見舞いした貴族風の金髪女性。

 実は、この金髪女性であるリデリアこそが、ラスヴェリート王国の王妃であるその人だったのだ。

 ウォルヴァンシアの王宮でリデリアと、足フェチな銀髪男性である国王セレインの側近であるヴェルガイアとの再会を果たした幸希は、後日、リデリアと騎士団のロゼリアと共に城下へと遊びに行くことになった。

 そこで女性同士の楽しい時間を過ごした幸希だったが、帰りに傷つき座り込んでいる青年を発見し、王宮へと連れ帰る事になる。

 自身の事を何も覚えていない青年は、レイフィード国王の許可を得て、王宮医師の二人が面倒を見る事に……。

 


 2・ラスヴェリート国王夫妻を歓迎する為のウォルヴァンシア王宮でのパーティーで、不思議な迷子の女の子に出会った幸希は、後日、玉座の間にて、その少女と再会。

 パーティーの場で出会った時とはまるで違う雰囲気の少女の名は、ディアーネス。

 エリュセードの裏側にあると言われる空間に存在する皇国、ガデルフォーンの女帝陛下だったのだ。ディアーネスは、幸希とカインを自分の国へ遊学に来ないかと誘いをかける。

 色々と迷ったものの、幸希は遊学を決意。強制遊学決定のカインと、ウォルヴァンシア王国の王子であるレイルと、ウォルヴァンシアの王宮医師の片割れ、ルイヴェルを伴い、ガデルフォーンへ。

 


 3・ガデルフォーンでの遊学を始めた幸希達は、宰相シュディエーラの困った歓迎を受けたり、城下にある大食堂で、ガデルフォーン騎士団長であるサージェスティンに出会ったり、退屈しない日常を過ごし始める。

 しかし、ガデルフォーン皇家に纏わる悲劇や、消えたはずの不穏がその姿を現したりと、禁呪の時以上の不穏の影が幸希達の前に現れ……。

 王宮医師ルイヴェルとの封じられた過去や、幸希の身に宿る未知なる力の暴走、アレクとカインの想い……。正体不明の魔獣からの襲撃だけでなく、ついには、ガデルフォーンの封じられた古の魔獣までもが蘇ってしまう。最終的には、他国からの救援が駆けつけ、魔獣は討ち果たされたのだったが……。

 不穏なる者達が創り上げた仮の器に取り込まれ消えて行った、女帝ディアーネスの兄達。

 大勢のガデルフォーン魔術師団と引き換えに、不穏なる者達に攫われた、王宮魔術師ユリウス。

 古の魔獣が復活した際に遥か天空へと飛んでいった、正体不明の輝き……。

 アレクディースの身に起き始めた、不可解な異変。

 幸希が取り戻した幼い頃の記憶と、少しではあるが使えるようになった未知なる自身の力。

 色々と疑問を残しながらも、古の魔獣事件は一応の収束を迎えるのだった。



 4・しかし、平穏な日常が戻ってきてから、アレクディースと共に出かけた幸希は、その先で異変に襲われたアレクによって唇を奪われてしまう。

 すぐに正気を取り戻したアレクディースだったが、幸希に今のキスは事故のようなもので、なかった事にしようと提案されてしまい、複雑な思いを抱くようになる。

 アレクディースの異変について、幸希とルイヴェルが話をした際に出てきた、『魂の記憶』の話。

 もしかしたら、アレクディースの異変は『前世』の人格が影響しているのかもしれない。

 そう予想を立てたルイヴェルは、ウォルヴァンシアに帰国後、アレクディースをフェリデロード家の本家で本格的に診察をしていく事を幸希に告げるのだった。

 一方、事故のようなものとはいえ、アレクディースと幸希が唇を触れ合わせた事を知ったカインの胸中は複雑で……。

 自分ともキスをしろと、あくまで平等に幸希の心が唯一人を決められるようにと、焦りを抱きながら積極的な迫り方をしてくるカインだったが、幸希にとってはどちらも冷静に話し合える状況ではなかった。アレクディースは何かを思い悩んでいるようだし、カインの方は以下略。

 そんな時、幸希は女帝ディアーネスと皇宮の中で顔を合わせ、気になる話を聞いた。

 真夜中に、アレクディースが女帝にしか呼び出せない宝玉を呼び出し、宝玉に力を与え、回復させていた、と。そんな事がただの人間に、いや、狼王族の者に出来るわけがない。

 幸希は女帝ディアーネスに下賜された双剣と共に帰国の日を迎えたが、どうしてもその話やこれまでのアレクディース絡みの異変が気になって仕方がないのだった。



 5・ウォルヴァンシアへと帰国した幸希は、突然の成長を遂げた、小学校低学年程の姿を纏った三つ子達と再会し、自分の母親が妊娠している事を知る。

 しかも、驚きの出来事はそれだけではなくて、両親が揃って三十代手前程の姿に若返っていたのだ。狼王族である父親と婚姻を交わした幸希の母親は、その寿命を共有する存在となっているらしい。だから、どれだけの時が経とうとも、二十代半ば~三十代手前程の容姿で一生を過ごすのが普通だと、そう説明された幸希だった。

 そして、このエリュセードでは、二十四か月を一年とする為、地球で二十歳の時を数えた幸希ではあるが、二つの世界が影響し合った結果……、自分が本当は十六歳である事を知ってしまう。

 まさかのマイナス四歳!! と、大ショックを受ける幸希だったが、これからはエリュセードの時だけがその身に影響を与え、二十四か月で一年という事になるらしい。

 帰還早々、衝撃的な事に対応しきれないでいる幸希だったが、アレクディースの事が気になり、騎士団へと向かう事に。

 しかし、最初は自分達で話をしてみると言って副団長室の中に消えてしまったルディー達の事が気になり、副団長室の裏手でドキドキと呼ばれる瞬間を待っていると、まさかのそこにカインが!! 相変わらず幸希に触れる事を諦めていないカインとの攻防をアレクディースに目撃されてしまう。

 だが、ルディー達からの説得が効いたのか、アレクディースは別の意味で開き直ってしまい、幸希が自分とのキスを事故だというのなら、それでもいい。

 けれど、絶対に自分は忘れないし、これからも自分の存在を刻み付けられるように、幸希に大胆な接し方をしていく事を宣言してしまう。

 


 第四章のお手軽把握版。(ルート分岐手前)


 1・幸希に対する猛攻が激しくなったカイン、彼は毎夜彼女の部屋に夜這いにやってくる。

 しかし、そんな事をさせてなるものかとアレクが妨害と共に現れ、そんなアレクを回収しに、幸希の部屋へと訪れるルイヴェル……。最早、日常茶飯事だ。

 恋愛のときめきよりも、日々疲労の方が溜まっていく気がする幸希であった。

 フェリデロード家での診察の日を目前に迎えたある日、幸希は自分の寝台にアレクディースが潜り込んで来ている事に気づく。

 それは、アレクディース本人の意思による行動ではなく、彼の中に在る『魂の記憶』によるものだと悟った幸希は、ある事を告げられる。

 『アレクディース・アメジスティーの魂に触れる事は、禁忌』。

 そのまま寝入ってしまったアレクディースの顔を見つめながら、幸希はフェリデロード家での診察に不安を覚えるのだった。



 2・フェリデロード本家での診察の日。

 幸希はアレクディース、ルイヴェル、セレスフィーナ、そして記憶喪失の青年フィルクと共に、懐かしいフェリデロードの領域へと訪れた。

 歓迎してくれたのは、フェリデロード家当主・レゼノス。双子の王宮医師の父親だ。 

 それと、ガデルフォーンでも会ったカインの師匠であり、ルイヴェル達の従兄、セルフェディーク。二人の出迎えを受けた幸希達は、フェリデロードの大神殿へと通される。

 神殿自体が魔術の実験場と化しているその場所で、アレクディースの診察を始める面々。

 やがて、アレクディースの中から現れたのは、神々しい光に包まれた、もう一人のアレクだった。

 しかし、その正体は『ディオノアードの欠片』と呼ばれる災厄の一部で……。

 その脅威を退ける為、前に出たのは記憶喪失の青年、フィルクだった。

 何もかも、自身の記憶を取り戻した状態のフィルクは、アレクディースが神の魂を抱く存在だという事を打ち明け、同時に、『ディオノアードの欠片』の一部を自分の中に封じるようにルイヴェル達を促した。そして、それが終わった後、正規の手順となる術式を周囲に教えたフィルクは、アレクディースを神として覚醒させるに至った。

 けれど……、『ディオノアードの欠片』がフィルクの中に封じられる寸前、幸希の存在に縋るかのように、それは叫んだのだ。『母様……っ』と。

 災厄の女神の魂が分かたれて生まれた存在。それが何故、幸希を『母』と呼んだのか……。



 3・フィルクは次に目が覚めた時、神としての記憶も、自分が幸希に保護される以前の事を、何も覚えていない状態に戻ってしまっていた。

 残された疑問と、目覚めの時を待ちながら眠るアレクディース。

 幸希はフェリデロード家に一泊する事になり、奇妙な後味の悪さを感じながら入浴をしていた。

 すると、そこに幼い頃に幸希が買い求めた動物、豹の姿によく似た漆黒の獣、『ルチル』が幸希の匂いと存在を求め、バスルームへと入って来てしまった。

 双子の王宮医師が、幸希の記憶を封じた後もフェリデロード家で世話をしてくれていた愛しい存在。再会を喜んでいると、ルチルを回収にきたルイヴェルがバスルームの外に座り込み、アレクディースについての話を始めた。

 神としての目覚めを迎えるという事は……、『別れ』を意味しているのではないか、と。

 フィルクの話が本当であれば、アレクディースが神としての目覚めの時を迎えれば、自分達の許を去っていくかもしれない。そう、憂いを胸に抱いた幸希とルイヴェルだったが……。

 一週間後、目覚めを迎えたアレクディースは、確かに神としての覚醒を遂げていた。

 しかし、前と変わらぬ性格のまま、アレクディースは言った。

『自分は、神としてまだ不完全だ』と……。

 神としての記憶の欠如、足りない力、――思い出せない、神としての名。

これは一体どういう事なのか……。

とりあえずは、まず、神様としての名前や記憶を取り戻せるまで普段通りの生活に戻る事になったアレクディースは、その夜、フェリデロード家でまた一泊する事になった幸希と屋敷の庭で顔を合わせ、彼女の不安を払拭する為にある事を誓った。

たとえ、いつか天上に戻る時がきても、『俺はお前を諦めない』。

神として目覚めたからと言って、カインに幸希を譲ったりはしないと強く宣言するアレクディース。この前の大胆な行動と言動よりも、さらに何かが吹っ切れてしまったらしきアレクディースは、幸希に積極的な想いを次から次へと伝えるが、せっかくの二人きりを頭上から突進してきた竜型のカインと、それを渾身の右ストレートで空の彼方へと殴り飛ばしたルイヴェルのせいで、雰囲気は一気に霧散してしまう。



4・そして数日後、エリュセードの真ん中に位置する巨大な施設では、各国の王が集い、エリュセードに起きている異変についての話し合いがもたれていた。

 『悪しき存在』の件を小国の王達に危機感を持つように注意を大会議で促した後、大国の王達を別室に集めたレイフィード。

 彼ら大国の王は、それぞれに、『悪しき存在』が封じられている空間への扉を開く為の鍵を握っている。もしも、ガデルフォーン皇国の魔獣を解き放ったあの不穏を抱く者達が、『悪しき存在』に何かしらの関わりを持っていたとしたら……。

 万が一、大国の王の中に、虚偽の報告を上げている『嘘つき』がいるとしたら……。

 レイフィードはその人物を見抜くために、アレクディースとフィルクが神である事を伏せ、嘘と真実を混ぜながら、ディオノアードの欠片についての情報を開示した。

 その席で、レイフィードは理蛇族の王から、後日話があると誘いをかけられ……。



 5・アレクディースが神として覚醒し、二週間の時が経った。

 幸希は、自分を避けるカインと、何とかして仲直りをするべくその機会を窺っていたのだが……。

 アレクディースが神だと判明したその日の晩、カインから受け取った一通の手紙。

 それには、一週間ほどイリューヴェルに帰るという伝言と、自分がいない間、絶対にアレクディースと二人きりになるなというカインからの絶対命令が書かれてあった。

 だというのに、その一週間後……、幸希はアレクディースと二人きりになってしまい、色々と。

 その現場をばっちり目撃してしまったカインは、それ以降、幸希を避けっぱなしで怒っているのだ。それはもう、徹底した拒絶っぷりだった。

 幸希は三つ子の一人、アシェルから情報を得る事に成功し、フェリデロード本家を抜け出してきた黒豹似のルチルと共に城下へと……。

 そこで、幸希はカインが見知らぬ女性と楽しそうにしている現場を目撃してしまう。

 チクリ、チクリと痛む幸希の心。

 そんな幸希を、どこから現れたのか、ルイヴェルが逃げ道を用意するようにその耳へと囁いた。

 『お前はまだ子供だ。無理に今相手を選ぶ必要はないんじゃないか?』と……。

 アレクとカイン、どちらも大切で、選べない今の自分。

 選べず、どちらも同じくらいに大事なら、それ以上の進展はないかもしれない。

 それならば、『成熟期』を迎えるまで、恋という感情から逃げてもいいはずだ。

 そう独り言と称して語るルイヴェルに、幸希はそれでも、自分は二人の事を真剣に考えていきたいと自分の素直な気持ちを表した。

 そして、その夜……。幸希の部屋に、カインがようやく自分から行動を起こし訪ねてきた。

 昼間に一緒にいた女性は、ただの知り合いで、幸希が勘ぐっているような仲ではない事。

 そう説明してくれるカインに、幸希はなかなか素直になれない。

 けれど、言葉と想いを尽くしてくれるカインの優しさに、涙が出そうなほどの喜びを感じてしまった幸希は、――次の瞬間、正体不明の何者かによって闇へと消えてしまうのだった。



 6・何者かによって攫われてしまった幸希は、とある屋敷で目を覚ます。

 白銀髪の男性に『馬鹿姫』と呼ばれ、攫われた理由もわからずその屋敷に留め置かれる幸希。

 翌日、自分を主である姫だと呼び慕う気配を漂わせる白銀髪の男性から、彼が神である事を告げられる。そして、幸希自身も神である、と……。

 物凄く混沌とした絵柄の紙芝居を作った白銀髪の男性から聞かされる、遥か昔の出来事。

 そんな昔話を聞かされても、幸希はそれが本当にあった事なのか、自分が本当にその妹神なのか、全然わからない。さらに、もうウォルヴァンシア王国へは返さないと言い張る白銀髪の男性に抗う為、幸希は自身の力を使ってその屋敷からどこかへと消え去ってしまう。



 7・無我夢中で逃亡を図った幸希は、記憶も自身の姿も忘れ、エリュセードの片隅で、――まさかの真っ黒な子犬の姿となっていた。

 自分は野良犬だと思い込んだ幸希は、生き抜く為にゴミを漁る生活を余儀なくされる。

 しかし、心優しい男性に拾われる事となり、獅貴族の王国、ゼクレシアウォードで暮らし始めた幸希。相変わらず記憶も、自身が人の姿であった事も忘れている幸希だが、『御主人様』と、家に遊びに来る獅貴族のお姫様、元気で明るい『レアンティーヌ』との心温まる生活に幸せを感じる日々を過ごしていた。

 けれど、そんなある日……、王都の大通りでレアンティーヌにぶつかってきた三人組の男性、幸希を探し続けているアレクディース、カイン、ルイヴェルと再会した幸希だったが、記憶を忘れている彼女は三人の存在に怯えを抱いてしまい、レアンティーヌと一緒に逃げ出してしまう。

 その先で、金髪の少女マリディヴィアンナと、カインそっくりの男性とも再会してしまうのだが、お互いの正体に気づかず、慌ただしい騒動を経て、御主人様と無事合流。

 その日の晩、自分を迎えに来たと家の近くに現れたアレクディース達に怯えを抱くものの、幸希は翌日、真っ黒な子犬の姿から……、黒髪の少女の姿へと変化してしまっていた。

 この髪の色こそが、まだ幸希の存在を隠す為の術が全て消えていない証なのだが、アレクディース達は事を急がず、幸希の記憶が戻るまでは今の生活を続けさせる事に。

 幸希にとっての御主人様こと、獅貴族の王弟、レオン・ロヴェル・ゼクレシアウォードの許なら安心だろうと。

 人間の姿になった幸希は、レアンティーヌと一緒に王都の中を散策する事になったのだが、そこで今度は、不精髭の男ヴァルドナーツと、マリディヴィアンナと遭遇してしまう。

 子犬の時には気づかれずに済んだ幸希だが、人の姿に戻ってしまった幸希は、再会に喜ぶマリディヴィアンナとヴァルドナーツに接触され、攫われかけてしまう。

 しかし、身の危険を感じた幸希の力がヴァルドナーツを吹き飛ばし、その場に駆け付けたアレクディース達のお蔭で事なきを得たのだが……。

 近いうちにあるという獅貴族のお祭りにはしゃぐレアンティーヌと舞を見に行く約束をした幸希の喜びとは別に……、不穏の芽がその淀んだ息吹を咲かせ始めているのだった。

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