第3話 エムズワース卿の受難録 P・G・ウッドハウス=著

P・G・ウッドハウス『エムズワース卿の受難録』P・G・ウッドハウス選集Ⅱ

岩永正勝・小山太一=編訳、文藝春秋、2005 ISBN4-16-324600-2



豚と庭のことで頭がいっぱいのエムズワース伯爵が活躍(?)する短編が10作と他にも関連短編が入った選集。ウッドハウスは『ジーヴズの事件簿』を最初に読んで、それからマリナーものを読んで、エムズワースものを読みました。


マリナーものは『アーチボルド式求愛法』の卵を産むメンドリのものまねの芸術的な表現にやられてしまいました。小説で初めて声出して笑ったかも。ユーモア小説です。


本書はマリナーほど笑いに走ってるわけではなく、上手い! って感じです。三谷幸喜さんが好きな人なら、面白いと思う。特に『ブランディングズ城を襲う無法の嵐』はオチがうすうす分かりながらも、クスクス笑いを誘います。


私はウッドハウスの絶妙な比喩が好きです。なんじゃそりゃ、ってツッコミながらも、ものすごく分かる感がたまらんのです。好みはあるでしょうけどね。一部本書から抜粋。「喜びで胸が熱くなった」と書くところを、こう書いてます。


(フレディの航海日記 360ページ より)

” 素人にとっては熱い芥子の湿布が胸に当てられたような気持だった ”


ウッドハウス(1881~1975年没)は文章力が抜群に上手く、徹底した推敲をしたとのこと。翻訳ものでどこまで感じられるかは私にはなんとも判断しかねますが、他の訳本より、岩永正勝・小山太一編訳のほうが好きですね。こちらのほうがとっつきやすい読みやすさがありました。


それでも読めるものは限られるので、訳されているものはありがたく読むんですけどもね。英語では読めませんので。無理、無理。



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