第4話

それからモミは、長い時間を一人ですごした。

動物たちは、大きくて力の強いクマの鼻の頭を、小さなモミがチクン、と刺したのを知っていて決して近づこうとはしなかったし、よそからやって来た動物たちにも、新しく生まれた子供たちにも

「決してあそこに近づいてはいけないよ。」

と教えたので、モミは誤解を解くことも出来なかった。




何年も、何十年もたって、モミは大きな木になった。

一番下の枝は地面を覆うように垂れ下がり、一番上の枝は北極星に届くほど高くなった。

それでもやっぱりモミの木は、冷たい北風に吹かれるたびに、動物たちが遠くから恐ろしげに自分をながめるたびに、

(僕はどうして、こんな所まで来てしまったんだろう…)

(僕はどうして、こんな所にいるのだろう…)

と、考え続けていた。

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