Tree at the northern end

青羽根

第1話

おいで おいで

北の地へ

ここがお前の 在るべきところ…


(う〜ん…)

春もまだ浅い頃の、ある日の真夜中。

北の大陸の一番北で、一本のモミの木が目を覚ました。

(さすがに、ちょっと寒いや。)

空気はしん、と澄んでいて、見上げれば北極星が高い。

(兄弟たちの中では、僕が一番遠くに来たはずだ。ずいぶん北へ来たんだから。)

モミはうんと背伸びして、生まれたばかりでまだ柔らかい葉を震わせた。

(ここがこれから、僕の場所。僕がこれから育つ場所。)

モミはにっこりと微笑んだ。

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