4月8日 憩いを得て、陽だまりの中で

 陽だまりの席で、日光を一杯に浴びながら、ハードカバーの本を開く。

 暖かで香りのよい紅茶に口をつけ、ほっと息を吐き出す。

 ……この幸せな時間を取り戻すまで、いったいどれだけの時間が必要だっただろうかと考え、すぐに苦笑した。

 いまはそんな些末なことを考えるのはやめよう。

 怠惰こそを、謳歌するのだ──


 雪車町地蔵だ。


 数か月ぶりにティータイムを取り戻した私は、じつに有意義な時間を過ごすことができた。

 残念ながらスコーンは少し湿気ていたし、焼きたてではなかった。周囲も多少騒がしかった。しかし、そんなものが何の苦になるというのだろうか。私はようやく、やっと、とうとう、安穏な日々を取り戻したのだ。


 簡単に言えば、忙しかった……

 いろんなことが忙しかった……


 しかしもう、嘆くのはやめよう。終わったのだ、これからは日常と呼ばれる時間が帰ってくるのだ。

 悲しみの弔鐘はもう鳴り止んだ。ぼくは輝ける人生の、その一歩を、再び踏み出すのだ。


 多少早く帰宅しても許されるし、深夜になるまえに布団に入ることができる。

 好きなときに病院に行けるし、名ばかりのティータイムに書類とにらめっこしながらドブ川のごとき廉価インスタントコーヒーをがぶ飲みする必要はもうないのだ。

 ハレルヤ!

 私の信じる神ではないが、盛大にそんな祝詞を叫んでみたくもなるというものだ。

 開運の壺? 壺なら床の間で寝てるよ。


 さてはて、この雑記が終わるまえに、安穏たる日々を取り戻すことができたのは僥倖だった。

 手抜きともいえぬような短文雑文でお茶を濁してきたが、少しは汚名を返上できることだろう。

 最終日までひと月を切っているが、どうかゆるりと楽しまれるがいい。

 まったく、息抜きとは必要なものだな、ほんと。



(のっりのりじゃねーか)

(こう言うのを幸せというのです、幸せならば手を叩くべきでしょう)

(アッピールは大事だな)

(幸せはおすそ分けできるものですからね。それでは、アデュー!)

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