12月23日 SSSS.GRIDMAN
君を退屈から、救いに来たんだ。
きみはひとりじゃない。
そんなテーマで始まった、特撮アニメ『SSSS.GRIDMAN』が、遂に完結した。
名乗り遅れたが、私は雪車町地蔵という。
アニメ化にあたり、正直ファンはそこまで期待をしていなかったし、多くの人は存在すら知らなかっただろう。
けれど、最終回。
グリッドマンは、ツイッター世界トレンド2位という快挙を成し遂げる。
早すぎた名作。
そんな風に呼ばれる作品は、いくつもある。
当時の映像技術では再現できなかった、表現がうまくいかなかった作品たちだ。
グリッドマンも、その一つとされている。
まだ今ほどにWebが整備されておらず、コンピューターすら物珍しかった時代、グリッドマンは機械の中にある世界を救うヒーローとして戦った。
時は流れて現代。
たくさんの電子ツールがあふれ、現実はグリッドマンのような世界になった。
けれど、早すぎた名作をリメイクして成功した例というのを、我々はあまり知らない。
グリッドマンも同じように、焼き回しするだけの作品にとどまるのだろうと、多くのものが思っていた。少なくとも、私の周囲では。
だが、違った。
そんなものは杞憂でしかなかった!
第一話放送時点。
この時点ではまだ、特撮をアニメで表現する作品、としか思われていなかった。
だが、第二話放送とともに、その衝撃的な展開によって、特撮ファンだけでなくアニメファンの心を掴む。
第三話の時点では、普段アニメを見ないという客層までもが、グリッドマンの話題を口にしていた。
そのこだわりは、異常と呼べる領域だった。
たとえば、特撮のヒーローというのは、着ぐるみやスーツを着ている。
当然動けば、各部の装甲が揺れる。コートを着て走れば風にたなびくのと一緒だ。
アニメグリッドマンは、これを忠実に再現した。
すなわち、グリッドマンが飛んだり跳ねたりすると──CGの装甲がリアリティーたっぷりに動くのである。グラグラ揺れるのだ。
尋常ではない資本が投入されたことが、熱意とこだわりがあることが、この時点でわかる。
さらに、作中で徹底して〝電線〟が描かれる。これは人と人のつながりを表すものなのだが……その作画カロリーが尋常ではない。
ちょっとだけでも作品を覗いてほしい、本当に至る所で、あんな面倒臭いオブジェクトが無数に書きこまれているのだ。
確実にアニメーターは過労状態である。
もうひとつだけ、特徴的な点を挙げる。
それは、徹底的なオマージュと、その先にある愛だ。
グリッドマンは巨大ヒーロー(ウルトラマンみたいなもの)とロボットものの中間のような作品だ。
だからだろうか、とにかく過去のアニメ作品への、徹底的なオマージュとリスペクトに満ちている。
撮影の角度だとか、登場人物の動きだとか、小物の内容だったり、どこを切り取ってもネタしかないと言われる始末だ。
そうしてそのすべてが、作品への愛情でできている。
出来上がった作品は、いまを生きるすべての人に問いかけ、応えるようなメッセージを帯びていた。
ドラマ、アクション、ネタ。
すべてが詰まった傑作、SSSS.GRIDMANを、ぜひあなたも、一度目にしてほしい。
大人でも、子どもでも、男性でも、女性でも、どんな人たちでも楽しめる作品に仕上がっているから。
そう、グリッドマンというヒーローは。
あなたを退屈から、救ってくれるエキスパートなのだ。
(今回は、〆の言葉は決まりだな)
(今も昔も、グリッドマンと言えば、これで決まりです)
((きみも、アクセース・フラーッシュ!!!))
(それでは、アデュー!)
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