6月18日 カステラとかいうヤベーイやつ

 ダンキェダンキェ!

 雪車町地蔵だ。


 読者諸氏はなんか大変かもしれないが、相も変わらず私は与太話をする。

 これは平常心だ、いいね?

 アッハイな読者諸氏は、めくるめくカステェーラーの国へと連れて行く。

 ハニーハニー。


 カステラと言われれば、なにを想像するか。

 皆まで言うな、卵色のふわふわポンだということぐらい、私もわかっている。

 だが、あれはしょせんニュートラル。

 仮面ライダーで言えばプラットフォーム内の弱さであることは確定的に明らかだ。


 まず第1クール序盤の、フォームチェンジをいくつか紹介する。


 ピンクの初恋! ストロベリー甘ずっぺー!

 イチゴ味のカステラだが、色が凄い。

 ピンクだ、ピンクのカステラだ、紅ショウガじゃないぞ。

 甘酸っぱくて、お年寄りに大人気。


 いぶし銀のグリーンベレー! マッチャ渋ーい!

 抹茶味のカステラ。

 身の部分の緑色と、皮のこい茶色が混じって、もはや芸術的な色彩を表しており、これはチャドーの開祖、千利休もチャドーに取り入れたという曰く付きの品だ。

 ほのかな苦みがあり、甘さが際立つ。


 黄金の芳香! チーズショッペーイ!

 文字通りチーズ風味のカステラだ。

 甘さの強いチーズスフレみたいな味がする。なにげに美味い。


 アイアム・レジェンド・オブ・柑橘! ザボンニゲーイ!

 ザボン味のカステラ。

 レモンの内皮アルベド(白い部分)の苦み、渋み、うまみ、香りを濃縮したような代物に、カステラの上品な甘さが加わる。

 はっきり言って、ダントツで美味い。

 ザボンを知らない人間が食べると、ギャップで死ぬ。そのぐらい美味い。


 チョコ色の香ばしさ! チョコレート・ウマーイ!

 最早説明不要。

 卵系焼き菓子にチョコレートを合わせて不味いわけがない。

 ビターで大人向きの味だ。


 ここまで駆け足で説明してきたが、これはあくまでただのフォームチェンジにすぎない。

 次は、いよいよ、中間強化形態だ。


 祝日の喝采! 美しきベール! 病魔退散──桃カステーラ!

 特別な日にのみ食べることを許される、いわゆる贈答用カステラ。それが桃カステラだ。カステラの上に、これでもかと砂糖を煮詰めた白いなんかが載せられており、桃の色合いに色付けされている。

 あまい。

 地獄のように甘い。

 だが癖になると抜け出せない。

 そんなカステラ。


 さあ、お待ちかねの最終形態だ!


 高貴なる献上品! 酔いしれろ究極のカステラ! 職人芸の大結晶!

 天下無敵の最強甘味──五三焼き!

 とにかく素材にこだわり、一部の職人にしか焼き上げられない技術の粋を集めて限定何個とかのレベルで焼き上げられる究極のカステラ。

 それが、五三焼きだ。

 五味(甘いとか辛いとか)を超越するほどうまいという触れ込みの通り、そのとろけるような舌触りと濃厚で芳醇な甘さは他の追随を許さない。

 ぶっちゃけ、通常のカステラの完全上位互換であり、これを食べると戻れなくなる。

 入手はたやすいが、それはあくまで地元民なら、というレベルのアルティメット。



 という感じで、カステラのついて大雑把に語ってきた。

 このほかにも安価に購入できるマイルド的な、カステラの切れ端。

 スポーツ選手のために開発されたスポーツカステラ。ブランデーなどを浸したカステラなど、バリエーションはヤバイ数ある。

 この機会にぜひ、読者諸氏もカステラの魅力に触れてほしい。

 はっきり言うが、地元民は飽きているので、プレゼントには向かないのだが……



(じゃあ、カステラもってきたらおまえ食わないの?)

(食べるに決まってるでしょ?)

(え?)

(え?)

(……なんぎだな、おまえ)

(う、うるさいですね! それでは アデュー!)

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