　グッドイブニング！

　雪車町地蔵だ。

　すっかり暑くなってきた……などという時候の挨拶に興味はない。

　今回はこの季節につきものの〝あれ〟について語っていく。

　春を過ぎ、梅雨を控え。

　この時期、誰もが心を砕くもの。

　そう、晩春には虫がつきものだ。

　かくいう私も、今朝がたムカデに噛まれた。

　痛みはそれほどではないが、割り箸がなければ即死だった……

　ムカデといえば、捕まえたムカデを油につけて切り傷や火傷の薬にする……という民間療法がある。

　調べてみたところ、効能を保証するものではないが、どうやら毒素を中和する作用が期待されるらしい。

　毒を以て毒を制するというのは、ある意味で根本的な薬学なので、あながち間違いとは言えない。

　なにせ普段使いの薬だって、飲みすぎれば毒なのだ。

　古代中国では暗殺に使われた毒を、ムカデや蛇の毒で中和する試みがあったと聞く。

　おそらく無数にあるケースのうち、たまたま一度か二度、毒物に対する拮抗作用があったのだろう。

　毒物の拮抗作用は、ミステリーなどでは頻繁に目撃するものだ。

　調べ始めると結構楽しいので、読者諸氏にもお勧めしておく。

　あるいはいつか、ここに記すかもしれない。

　今日はだいたい、そんな感じだ。

（実際のところ、ムカデにはどんな薬が効くんだ？）

（ムカデの毒は熱に弱いので、熱めのシャワーなどで洗い流すといいです）

（どのくらい？）

（20分ぐらい？　それから安定の抗ヒスタミン。お好みでかゆみ止めも）

（なんにせよ、ヤバかったら病院だな）

（そういうことです。それでは　アデュー！）

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