5月7日 素敵なもののなにもかも

 グラッチェ!

 連休明けの疲れた体、それをおしての閲覧に感謝を述べるとして──

 今回言いたいのは、ケセランパサランについてだ。


 マザーグースの有名な一節に、こんなものがある。


 〝女の子は何でできているの?

  女の子は何でできているの?

  砂糖にスパイス。

  そして、素敵なもののなにもかも!〟


 どのくらい有名かというと、カンフー映画で怪鳥音と呼ばれる「アチョー!」が無意味な言葉ではなく(かなり意訳すると)お前を打つ! 的な掛け声だというぐらいには有名なのだが、では、マザーグースで、男の子はどう呼ばれているか知っている方はいるだろうか。

 答えはこうだ。


 〝男の子は何でできているの?

  男の子は何でできているの?

  カエルにカタツムリ。

  それに子犬の尻尾でできているよ〟


 ようするに、少年の多くはそれらに興味津々で、捕まえたりして遊ぶのが大好きだという意味なのだが。

 しかし待ってほしい。

 子犬の尻尾とは何ぞや? と思われる読者諸氏も少なくないだろう。


 これは、断尾という猟犬などに行われる処置の結果生まれるものだ。

 目立つ帽子をかぶっていたら逃走中不利になるなので脱ぎ捨てる、みたいなノリで、猟犬が小さいうちに尻尾を切る風習がある。

 この尻尾が、少年たちにとってはベイブ・ルースのサインボール並みに宝物だったわけだ。


 さて、日本の妖怪にケセランパサランというものがいる。

 もこもこした綿毛の塊のようなもので、おしろいと一緒に飼っていると大きくなるとか増えるとか言われており、持ち主にグットラックを授ける善良な妖怪だ。


 このケセランパサラン、実在する。

 その正体は植物の種であったり、クマなどの大型捕食動物に襲われたウサギなどの毛が付いた肉片が、時間経過とともに丸まったものだとされている。


 動物の一部を幸運の象徴とする文化は珍しくない。

 あるいは〝男の子を作る子犬の尻尾〟も、我が子の幸運を祈る、親心の結晶なのかもしれない。

 それはきっと、素敵なものだろうと、私は思う。



(いい話風にしてるけど、結構グロいぞ?)

(猿の手の話を我慢しただけ褒めてもらいたいところです)

(いい話じゃないじゃん!)

(これには私もお手上げですね……アデュー!)

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