DimensionFusion
@sabaibarugem
第1話
それが最初に起こったのは、2000年1月1日。
世界中でハッピーニューイヤーと叫ばれたハズの日だった。
世界中で、多少の時間差があるにせよ、人々が突如の頭痛に襲わたのだ。その痛みは想像を絶するほどであり、中にはこの段階でショック死する者さえ大勢でたのである。
そしてこれは人類だけにとどまらなかった。
後に判明したことだが、知性があるとされている全ての動物でこの現象は起こったのである。
気絶の時間は人によって違った。一時間程度で起きる者もいれば、数日間昏倒し続ける者も存在した。だが、起きることが出来た(ショック死したり、気絶した際に運悪く海に落ちたり交通事故で死んだりした人間以外)全ての人間は自分に何が起こったのかをはっきりと認識した。
『記憶が二つ存在する!!!』
ただひとりの例外もなく、それを認識した。ほんの些細な違い。例えば、自分の友達が違うとか、仕事が違うとか。人生の分岐点において、自分とは違う選択をした、もう一人の自分の記憶であった。
自分はホームレスなのに、もう一つの記憶では大金持ちになっていた人がいた。
好きだったけど諦めた人と結婚していた人がいた。
自分の子供の性別が違った人もいた。
気づいた。この現象を研究していた各国政府や科学者達は気がついた。
『これは平行世界の記憶だ!』
発表されたこの事実を、馬鹿馬鹿しいと笑い捨てることは誰にも出来なかった。自分も体験しているのだから。特に、日本ではサブカルチャーの影響もあって、受け入れられるのは早かった。
もう一つ、人々が受け入れることができた要因がある。というか、ある意味もう一つの記憶よりも重要なものであり、このようなことが起こるなら、平行世界だってあるだろう、という一種の納得であった。
後に、《SSスキル》、もしくは《第一能力》と呼ばれる超能力が、全人類に発現したのである。
この能力が発現したのは、記憶流入から半年後。ある一人の男がネット動画サイトにて公開したことが始まりだった。もしくは、超能力が発現したのが自分だけではないということを知った多数の人間が、相次いでネットで発表しだしたのである。
その後の研究によりそれは、『自分の身体能力を上昇させる』能力だと判明した。ゆえに、
この能力を発現すると、個人差はあるものの、人は今までの人類の肉体限界を容易く飛び越える。発動に時間制限があり、一度使用するとクールタイムが必要ではあったが、人間は猛獣にさえ生身で勝てるようになった。
まさしく、ノストラダムスの予言の通りに、既存の世界は破壊された。人々は平行世界が存在することを知り、超常的な異能が存在することも知った。
ーーーそう、ここで終われば、ただそれだけの話だった。
この騒動は、一度で終わらなかったのである。翌年2001年1月1日。昨年と同じタイミングで、同じ症状が世界中を襲った。
世界の終わりが、始まったのである。
DimensionFusion @sabaibarugem
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