お気の毒ですが、あなたの財産は消えてしまいました。

第1話 このシリーズを読む前に知るべきちょっといいこと

信じられない！！

またそうやって、迂闊にも、

どこに飛ぶかわからないリンクを押してしまったの！？

開いた先が不審なWebサイトでなくてよかったね！

これがサイバー攻撃なら、あなたの財産はお亡くなりだったよ？

ここで言う財産とは、お金や個人情報のこと。

それが他人の手に渡るんだよ？怖いよ？

怪しいサイトに住所さらされちゃうよ？いいの？ねﾞぇぇ？

今やサイバー攻撃は当たり前に行われている時代。

攻撃者は興味を引くような文章を書いたメールを不特定多数に送付。

怪しい添付ファイルを開いたり、

不用意に記載されているURLにアクセスしたりする、

間抜けな人間を探しているの。

『へぇー、そうなんだ』って思ってるそこの君。

今まさに君は、小説を読もうとして、不用意に、Webページを開いてしまったの

だよ？

何？ここは世界でも有名な企業の提供するWebサイトだから、安全。

タイトルにそう書いてある？企業のロゴが貼られてる？

開いたところで何も問題はない。って？

甘いよっ！

こういう世間一般に安全だと思われるWebページを攻撃者は狙ってるんだから。

ある日突然、いつも使ってる安全なWebサイトが、

ウイルス増し増しの危険なサイトに書き換えられる、

可能性はある！あります！ありますよぉ！

あれ？もしかしてウイルスをご存じない？

病原菌のことじゃないよ？

パソコンやスマホに入り込んで悪いことをするプログラムのことだよ。

悪いソフトウェアだからマルウェアとも呼ばれるね。

でも、こんなサイバーセキュリティを題材にした小説を読みに来たわけだから、

当然、接続先のドメインのチェックはしてるか、な？

仮想環境とかVDI環境とか、機器本体にまで影響の及ばない方法でアクセスして、

小説を読んでいる可能性があるわけだ。

ごめんね。ちょっと馬鹿にしすぎたね？

ウイルス対策ソフトの入ってないスマホでアクセスなんてしてないよね？

少なくともマルウェアという単語の意味が分からないなんてことはないから

普通に使ってよかったね。

じゃあ安心だ。あなたの財産は守られています！

というわけで、このシリーズでは、サイバー攻撃に遭遇してしまった、

かわいそーな人たちが登場します。

もちろん、フィクションだし、実際に起きるわけじゃない架空の話だけど。

それはまだ、現実が未来に追いついていないから。

もしかすると、10年後の出来事かもしれないし、100年後、

それ以上に時間がかかるかもしれない。

でも、いずれこんな時代が来るって信じてるから。

この話を反面教師に、現代社会を生き抜こうね？

あ、そうだ。

私はあとで本編に出てくるからまたどこかで会おうね！