第61話 沙弥華への違和感?

 さとるが一人で渚へと出かけた後、フレイアと白銀はリリスと共に沙弥華さやかを見守っていた。

リリスとの挨拶は既に済ませた後だ。


今日の出来事で、フレイアは一つ気に掛かっていた事があった。

沙弥華さやかを包んだコクーンを眺めながら、思考の中へと沈み込んで行く。

幾ら考えても納得の行く答えが見つからなかった。


フレイアは自ら考える事を放棄し、白銀しろがねとリリスへと言葉を投げた……。


白銀しろがね殿、サヤカの事で気になった事があるのだけど……、聞いてもよいかな? 』


『フレイア殿、構わぬが……どうしたのだ? 随分と考え込んでいた様だが 』


『……実は、昼間の事でサヤカに違和感を感じたんだ。 

治癒のために聖霊命繭ホーリーライフコクーンを行なった時に、少々邪魔をされた…… 』


『なに!? フレイア殿、その様な事が……。 しかし、あの時沙弥華さやか殿は意識も無かった筈。

仮に意識があったとしても、沙弥華さやか殿が高位の魔法に抗う事など出来よう筈が無いのだが 』


『私もそう思う。 だが……どう考えても違和感の正体が判らない。

意識して・・・・魔法に抵抗したとしか考えられない。 普通ならありえない事だよ 』


『リリス、沙弥華さやか殿に何か……不思議に感じる事や……違和感などはあったか? 』


白銀しろがねさま、出会いから今まで……特には無いのです。 色々と覚えが良いのと、マスターよりも思い切りが良い・・・・・・・くらいですか? 』


『うむ……。 我らが知らぬ何かがあるのか? だが、我らが気付かぬと言うのも解せぬな。 

そうは思わぬか? 』


白銀しろがねさまの言われる通りです。 人の……勇者(遊者)とは言え、位階的にも誤魔化される様な事はありえないのです 』


『リリスの言う通りだよなぁ。 違和感の正体は何なんだ? 気がついたら聞いてみるしか無いか? 素直に答えてくれるかなぁ 』


『うむ。 本人に聞いてみる必要はあるな。 

答えてくれるかは別にしても……何かを隠しているのかも知れぬ 』


    ◇    ◇    ◇    ◇


A「ねぇ…… あんな話をし始めたけど。 やはり変よね? 」


B「ウム、……違和感とな? 確かに少し引っ掛かる場面はあったように思うが 」


C「そう言われると、少し違和感? もあったのかなぁ。 ただ、私達すらも欺けるものなのか? 」


B「ウヌッ……そう言われると、現状判らんのだから。 自信なぞ……わしにはないぞ 」


D「白竜・・が現われた時、彼女・・は気付いていたみたいよね? 」


A「それ以外には……あっ! 錬成技術の継承の時かな? 確認した方がいいよね 」


B「ウム、そうじゃの。 ちと待っておれ、すぐに呼ぶからの 」


D「確かに、その方が早いわね 」


B「ホレッ、 呼んできたぞ 」


F「おやっ? ……皆さんお集まりで。 御無沙汰ですね 」


A「ねえ、下の話だけど、視ていたわよね? 」


F「当然視てましたよ? それが何か? 」


B「急に呼びだてて、すまぬな。 違和感の正体と言うか……我らが気付かぬ事があるのか? とうい事じゃ 」


D「少し、変に感じた事があったのは確かなんだけど、気にしなかったのよね 」


F「違和感ねぇ。 ありましたよ。 伝承した時にハッキリと感知しましたから 」


皆「「「「えっ!? 」」」」


B「ナニッ? やはりあったのか 」


F「私は直接彼女と接触したから判っただけで、皆さんが判らないのも仕方ないですよ? 」


A「それはどういう事? 」


F「多分ですよ。 確証は無いのですが、彼女は色々と偽っている筈です。 恐らく称号すらね 」


皆「「「「「!? 」」」」」


F「まぁ、確証は無いのですよ。 ただ、何かがあるのは間違い無いと思いますね。 あの方ならご存知じゃないのですか? 」


C「何れにしても、もう暫くは接触出来ないのだから様子見ね 」


B「そうじゃな。 だが、そう悠長な事も言ってられんかもな! 」


A「そうよっ、 アレはどう視ても不味いわよ! 何を考えているのか…… 」


F「そうですね。 アレは、恐らく何も考えていないですよね 」


B「そう視えるが…… あ奴らの指図じゃろ? 」


C「鬼といい…… 碌なもんじゃ無いわよ! 」


A「目的が……世界の消滅なら最適よ。 手段を選ばないならね!

ただし、どこにも勝利者がいないけど 」


F「後数日でアレは完成するでしょう。 恐らく近いうちに発動もさせますよね 」


C「歯がゆいわね! もう暫くは接触出来ないのだから仕方が無いけど…… 」


E『まだ暫くは我慢ですよ。 その時迄、静かに見守りましょう 』

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