第47話 遊者補正はチート過ぎ?
案の定、家の回りは報道の中継車で埋まっていた。
「お兄ちゃん…… これって戻らない方が良さそうよね 」
「そうだな…… 休暇が終わる前に会社へは一報入れなきゃな 」
『地球の人々は暇なのだな。
所詮は他人の金であろう? 自分の物でもないのに御苦労なことだな 』
「日本だからこれぐらいですんでるのかもよ。
海外なら…… 想像するだけでゾッとするわ 」
「取り敢えず少し移動だな。
隣町まで移動して、必要な物を揃えてあっちに戻った方が良さそうだ 」
ああ…… なんでこうなったのかな?
まぁ…… 暫く向こうに逃げるにしても、こっちの対策も立てないと……
「本当に、難題ばかりだね 」
◇ ◇ ◇ ◇
農業従事する事数日、遊者補正の出鱈目さが此処までとは思っても居なかった。
これ…… 造った人は本当に何も考えていないのだろうなぁ。
多分…… いや! 絶対に!
時空庫内での錬成が出来る事が発覚した……
「……なぜ!?? 」
なぜ、リリスは言ってくれなかったのだろう?
それが判っていたら……
「資金の問題もさぁ…… あんな手を使わなくても解決出来たのよね 」
『……マスター。 だってお聞きになりませんから…… 』
と涙目で訴えられたら、何も言えません。
時空庫内錬成。時空庫内で分析・分解・再構築・複製・縮小・拡大と何でも出来る。
例えば、
錬成又は複製になっている理由は、設計図さえあれば複製ではなく新規で錬成が可能なためだ。
分析・分解・再構築・複製・縮小で判り易い例だと、ジャガイモかな?
市販の大きめなジャガイモを分解・縮小・再構成を行なえば、元の大きさより小さな種芋なら複数個を錬成できる。
種芋だから小さくても問題ない。
トウモロコシなら一本から分析・分解・再構築で種を複数錬成可能だ。
また、同種の作物でなくても、組成が同じ物を分解し再構成することで複製し量産が可能だった。
極端な例だと、炭を元にダイアモンドなどと言えば判りやすいだろう。
聖霊核なども同様の工程で複製(錬成)が出来た。
大気中の「聖霊の息吹」を取り込み、時空庫内で加速・収束・圧縮し結晶化する。
まったく、チート過ぎますよね。
他にも隠された機能とか有りそうですが……
もう気にしない事にしました。
◇ ◇ ◇ ◇
取り敢えず今後の方針を決める必要がある。
マリアやファルドさんと打ち合わせが必要だ。
戦闘に関しては役に立たないので、その辺の話は無しでお願いしている。
いま会議室に居るのだが……
見知らぬ方が居ますね。
「
マリアとサリアの父でタケルと申す 」
タケル・S・ヤマト・ローベンス、前国王だそうで、今はマリアに王位を譲り国防関係の指揮をしているそうだ。
「は……はじめまして。 篠宮 哲です 」
「はじめまして、沙弥華です 」
「そなたら二人にとっては伯父になるのだ、堅苦しくせずとも良い。
以後宜しく頼む 」
「「……はぁ 」」
そう言えば伯父になるのだった……。
「まずは礼を言わせて欲しい。
原因が判らず苦慮していた作物の不作、その原因と対応策を見つけてくれた事には感謝しておる。
あのままの状態であったならと考えると……
今は隣国の動きが怪しくてな。
本当に有難う 」
「その件は私からも、改めて感謝の言葉を述べさせて頂きます。
本当に有難う御座います 」
マリアとファルドさんが頭を下げる。
「いえいえ、運良く見つけられただけですよ。
兎に角、原因が判って良かったです 」
何時までも頭を下げられていても具合が悪い…… 話題を変えよう。
「それより、農地への対策と作付け状況はどうなのですか?
肥料の改編などもまだ残っていますし。
各地への発送方法なども心配なのですが……
お手伝いできる事があれば言って下さい 」
「そう言って貰えると助かるのだが、向こうへは戻らなくても問題は無いのか? 」
タケル伯父さん? もマリアも心配そうに聞いてくるけど。
「その辺は、
『うっ……うむ! 我らの機転で良い方へ進んだようだな! 』
『そっ……そうよね! これで時間もお金も気にしなくて済むでしょ?
異世界を満喫できるわよ! 』
「……二人とも? 今回は、そう言う事にしておくわね! 」
『『………… 』』
「では、今後の方針と手配だが、マリアから説明させよう 」
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