第44話 原因とモツ煮

 マリア達の説明の後、早速現地へと案内してもらった。


現地へと到着したのだが…… 流石にお腹が減った。


 そこで地球の手料理を御馳走しようと提案した。

あ…… 王族だとその辺は不味いのかな? と心配したが

「「始祖大和様のお国の食べ物!? 是非お願いします! 」」

と、二人にお願いされました。


 簡単に済ませようと思う。 

取り敢えずはお米を炊く。

これは沙弥華にお願いした…… 

沙弥華さやかさん!炊飯ぐらいで逃げるな! お嫁に行けないぞ! 」

と言いたい。

だって、お米を研いで水加減をしたらスイッチ入れるだけでしょ!


「さて、簡単に済ませるなら圧力掛けて煮物だろう 」

 アウトドア用のGSIの圧力鍋を取り出し「簡単 モツ煮」を作る事にした。


バーナーは二個用意し、両方のバーナーで湯を沸かす。 

片方へモツを一Kg投入して茹で溢す事二回。

これをやらないと臭みが残ってしまうのですよね。


茹で溢しの間に他の準備をします。

蒟蒻を短冊状に切り、ニラを二cm程度に切っておきます。


全てが終わったら、圧力鍋に材料を投入しますよ。

水はヒタヒタになる位。 火に架けて五分程度加圧します。

その後は圧力を下げ、味付けです。


 味付けには沼津市・・・で作られている焼肉のタレを使います。

このレシピは地元のお肉屋さんで教えて貰ったのですが、簡単で美味しいので良くつくるのですね。

此処の焼肉のタレですが、幾つか種類が有る野ですが、味噌タレが一番美味しいです。

味付け後、もう一度加圧して出来上がりです。

これで染込むんですよ!


「これは…… 美味しいですね! 

この独特の食感と、甘辛いタレが白いご飯と良く合いますね 」


「白いご飯がこのタレを吸ったのも、美味しいですよ 」


「お口に合って良かった。 

スープと絡めた白米へ、生卵を割り入れても美味しいですよ。

宜しければ、どうぞ 」


白銀しろがね達は言うに及ばず、マリアもファルドさんも御代わりをしていた。

料理のし甲斐がありますね!。


皆で美味しく頂き、モツ煮の一Kgは完食しました。 


「やっぱり外ご飯は美味しいですよね 」


    ◇    ◇    ◇    ◇

 

 食事の後は検証です。


と言っても、農業のプロではないのですよ……。


「リリス、向こうのネット検索がこっちでも出来ないかな? 

農業、詳しくないんだよねぇ 」


「マスター、可能なのですよ。 

思考検索すると結果がAR表示されるのです 」


ナビとMトレックの連動機能が凄いとは思っていましたが、地球のネット検索がこっちでも使えるとは思っていませんでした。

早速色々調べております。




「この不作ですが、何かが作用しているのは間違いないと思うのです。

作物の病気では無いなら土壌・肥料・水しか考えられないと思うのですが…… 」


 土と撒かれた肥料と水を採取して鑑定を試してみます。

肥料を鑑定はしたそうだが、入国時の検査だけだったらしく、散布された後は調べていなかったそうだ。


「やはり……鑑定結果は昨日と一緒ですね 」


育成不良の作物を撤去し、土壌を調べるとミミズが大量に居たが少し違和感が……?


さとる殿、このワームとは共食いをするものなのか? 

我は農業の事は判らぬ。 どうなのだ? 』


『そう言えば、昨日も共食いしてるの見かけたわね 』


「お兄ちゃん!? ミミズって共食ってするの? 」


土が痩せていたせいか? 共食いをしている個体が多数いる。

案内してくれたファルド氏に聞いてみると、

「確かに見かけましたね、ワームの生態を研究した者はおりませんので、そういうものかと…… 」 

これは異常なの? と驚いていた。


「アリス、ファルドさん。 

殆どの動物は、他の生物や植物をその糧としたりして生存しています。

しかし、ほとんどのミミズは他の生物の生命を奪いません。

食べるのは腐った葉や土だけです。

ミミズ同士で争う事もなく、ましてや、共食いなど考えられないのです。

これは異状な状況なんです 」


 これが原因かも知れないと鑑定を使うが、結果は品種改良・・・・されたワーム、ミミズと表示された。

ミミズならば、通常は土壌改質してくれて肥沃な土にする。

品種改良と言う文言にも違和感がある。

もしや? と鑑定ではなく分析を行なった。


「品種改良……か。 生物分析バイオアナリシス 」


結果は、栄養素を取り込み土壌劣化・・・・させるように品種改良されたワーム ミミズだった。


見た目は普通のワームだが、土壌の栄養素を根こそぎ奪っていた。

土中の栄養不足で共食いを始めた個体が出たようだ。

これでは作物が育つ訳がない。


「このミミズが原因だよ! 散布前の肥料を貸して欲しい 」

侵入経路は肥料か? と思い分析アナリシスを実行する。

原因が判明した。


「このワームは、地球のミミズと同じで極小の卵を産むみます。

正確には卵ではなくて卵包・・から孵化するのですが。

品種改良された個体で、卵包自体が乾燥にも強く、絶乾状態でも休眠状態にあり生き続けるようです。


一度水に濡れ吸湿すると、活動を再開し孵化を開始するのです。

そのために、絶乾状態で肥料に混ざっても入国時の検索(鑑定)では見つけられなかったようですね。

しかも、特殊な操作で産み出されたのでしょう。

どうやら、一代限りで繁殖力は無く、地球で言う岩魚等のF1と同じみたいです 」


恐らく、侵略後に奪った土地が使えねば困るわけで……

その辺も考えられた、ある意味イヤらしい攻撃だと思える。


「救いなのは、熱に弱い生物みたいですね。

ファルドさん、他の育成不良を起こしている畑の収穫を急いで下さい。


その後は、魔法などで不良の作物を乾燥、その後は畑へ火をつけて回って下さい。

広範囲魔法で畑を焼き、焼土とする事で、土壌の窒素組成が変化し土壌が改良されます。

雑草、害虫、病原体の防除が見込めるますし、件のワームも駆除できます 」


「アリス様、宜しいですか? 」


「判りました。 ファルド早速手配をお願いします 」


急いで収穫を進めた後で、白銀しろがね紅花べにばな達にも魔法での駆除をお願いした。


さとる殿、有難う御座います。 これで対策が取れます 」

ファルドさんとアリスにお礼を言われるが、しっくりこない。


「でも、これでは収穫量が減った事には変わりないですよね?

その辺の解消手段を考えないと…… 」


「確かにそうなのですが。

今から作付けすればギリギリ間に合うかと言う所です。 

ただ、対策がハッキリしたのですから昨日までとは違いますよ 」


「少し思いついた手が有るのだけれど、ここの畑を借りてテストしても良いでしょうか? 」


「それは構いませんが、手とは? 」


「それは、上手く行く保障が無いので戻ってからで良いですか? 

結果が出るまでどの位掛かるかわかりませんが 」

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