第42話 魔導騎士(下)
これから本体の錬成をすため、先ほど錬成した聖霊核を納める中央筺体を造るラボに向かいます。
どう言う訳か魔力はまだ残っていますよ。
サリアさんも呆れていますが……問題ないと言う事でそのまま本体の錬成を行う事になりました。
この体もチート臭い気がしてきましたのですが……。
沙弥華は基本設計にアレンジする事が出来ないようで、標準型を錬成するそうです。
俺はと言うと、設計のアレンジが可能みたいです。 何故なんだろう? 考えても判らないので色々確認しながらですね。
まず、全体像と言うか方向性を決めなければいけないでしょう。 こういう物はコンセプトや想定している使用環境や用途に沿って設計されるべきだと思うからです。
さて、どうしようか? こうやって悩む時間も楽しいのですがね。
祖父の残した設計は三種類ありました。
まず、特徴の少ない機体で中間的な出力特性を有してる標準型と呼ばれる機体。
次は、戦闘特化型で切り込み部隊と言うか移動速度や反応速度と言ったスピードを重視した機体。
最後は、防御特化型で装甲が干厚く出力もトルク型に、但しスピードが遅いわけでは無く聖霊核が大型にしてあり標準型並の機動力を有した機体。
試作という事もあり、防御特化型をベースにして移動速度や反応速度をスピード特化型並に出来ないか考える。
考えると言っても、そう思い描くだけで何故か? 設計図が徐々にだが改編されていき形になって行く。
それは不思議な感覚だった。
何故出来るのか? 考えても良く判らない。 知っている筈のない基礎設計の知識、違和感が無いと言ったら嘘になるが、その作業が面白く疑問に思う事も忘れて作業に没頭していった。
二時間くらい経っただろうか? 一騎の設計図がAR表示に映し出されている。
スピードは戦闘特化型と同等で防御力と出力特性が防御特化型と言う……
少し無茶な設計の機体だ。
無茶ではあるが設計に無理は無いようだ。
何故か? 使用する聖霊核が防御特化型よりも少し大きいからだ。
聖霊核の作成は……実は出来ている。
さっき作った内の一個が、偶然だが防御特化型に使用する物よりも大型だったからだ。
試しにと、「聖霊の息吹」を多めに使用してみたら出来てしまっただけだ……。
後は設計に基づき、各ユニットを錬成するだけである。
◇ ◇ ◇ ◇
ラボで遊ぶ事四時間、
このラボで一体が造られる時間は大凡だが三十分らしい。
初めてにしては上出来かな? 沙弥華は汎用タイプを錬成した。
俺は、少し趣味が入っている。 何故かアレンジが出来たからだ。まだ趣味は全開ではない。
趣味全開の
だって、楽しいから。
各ユニットの錬成の方法自体は単純だ、錬成槽と言う大きな?
浴槽に液体金属のアンオブタニウムが満たされている。
錬成槽へ魔法陣を介して魔力を注ぎ続けると、部品が硬質化していくそうだ。
使用する魔法は「深淵の探求者・錬成者」特有の固有魔法で
深淵にある設計図を、魔力を使いアンオブタニウムへ転写・転換している。
アンオブタニウムは複数の鉱物で出来ており、設計通りに個別の金属へ転換しているのだ。
オリハルコンは魔力貯蔵と基礎骨格へ、ミスリルは自己修復も可能な装甲へ、アダマンタイトとアマルガムはその性質から駆動体に、
錬成が終わると、錬成槽からアンオブタニウムが下層へ排出され、後には完成したモジュールが残される。
それを最終工程であるアッセンブリーベットへ送り組み立てて完成だ。
様は初期充電だね。それが終わると自動的に魔力を自己補充し稼動を始める。
待機モードになっていたのでその場に留まるが、命令をすれば行動を開始する。
「造ったけど、何をさせようか? 」
「農場に連れて行く? 」
「補充に回してもらおうか? 」
連れてまわるのも変なので、補充に回してもらって不具合を確認してもらう事にした。
試運転無しで事故でも起こしたらしゃれにならないしね。
錬成も出来たので、サリアさんに試作した三機と余った聖霊核一個を渡した後、マリアや白銀達と合流した。
次は農場の確認だ。
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