第35回SHE DRIVES ME WILD

8月21日(木)


岸森明日菜は夢中で読書に没頭してよく頷く。


夜河満男は煙草は吸わないが、いつも爪楊枝を加えながら運転してる。


カーステレオからはカントリーミュージックが流れ、周りは一面の畑。


「うん、面白い。夜河さんのセレクトする本はどれもいい」


「この5日くらいで何冊読んだんだ?」


岸森は頭を上に向け。


「う~ん、20冊くらい」


夜河はニヤッとして「そんなに面白い本ばっかだったか?」


「うん、サイコー」




通りがかりの定食屋で昼食を取る。


「夜河さんは私と寝たいと思わないの?」


夜河は少しむせて「昼飯食いながらする話題かよ?」


「全然その気ないみたいだから」岸森は指を絡め「私ってそんなに魅力ない?」


「じゃあ逆に聞くけどお前は俺と寝たいのか?」


「(少し間を置いて)……うん」


夜河は頭を掻く「まったく、とんでもない爆弾娘だよな……避妊具なんて持ってないぞ」


「あたしは持ってる」岸森は目を輝かせる。


「お前はそんなに欲求不満なのか?」


「別に〜」


岸森は上の空でカツ丼を頬張る。


変わった女、いや女の子か。




「ところでどこ目指して走ってんの?」


「こないだ言った通り”この世の果て”」


「もう夕方か、また夜河ライブラリーに浸ろうっと」


岸森はヒューヒュー言いながら奥に行き、本棚を物色してる。


ラジオからはクラシックが流れてる、一人旅よりは二人旅の方が楽しいのは当然である。夜河は至福の時を過ごしていた。





本城ベータは運動不足解消に縄跳びを始めた。これが結構きつい。50回で息が切れる。


汗だくでシャワーを浴び、我道がセーラー服姿で帰還。


センセこれからご飯作るね。「おう、頼む」


ベータはパソコンに戻り、頭を拭きながら、画面を見てる。




夕食後また月を見ようと2人はベッドに横になるが、曇り過ぎて見えない。


気付くと我道は熟睡していた。仕事で疲れてたんだろう。毛布をかけ、ベータは媚薬の混ざった香水の匂いを感じながら、我道の寝顔を見ていた……。


この出来過ぎの子が嫁さんになってくれるという。このままでいいのかね……。



2015(H27)10/22(木)・2019(R1)11/14(木)










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