第43回ダーク・アイズ
2年A組学級委員野上薫子は岸森明日菜の携帯に何度も連絡していた。どうしてもつながらない。
自宅を目の前にしているが、人のいる気配がしない。自宅の固定電話にも連絡するが、空回り。
旅行でも行っちゃったのかな?まだ2日しか経ってないし、大丈夫か……。野上はその場を去る。
野上に未練タラタラのさすらいの学級委員北島守は野上をつけていた。
”ストーカー”……北島は頭を振って、その言葉をかき消した。俺は彼女を愛してるんだー!
だが待てよ、野上は俺に気がないんだし、客観的に見たらストーカーだ。
なぜに、なぜに、なぜに……何でこうなるんだ?むごいよ、手厳しいよ、切ないよ……。
さすらいの一人相撲男北島守は今日も自宅までダッシュ!
ベータはBGMのドラムの音で目を覚ました。
カウンターで寝ていたようだ。来た覚えのないアメリカの片田舎にありそうなレトロなバーである。
ベータは右端にいて、左端にバーテンがいてグラスを拭いている。
ベータの2つ隣りに20代前半くらいの短髪の女の子が座ってる。
最後の記憶はバー”リデル”で凄い眠気に襲われたあたり。
なんかここがどこだか聞くのも野暮な気がしてきた。
予想外の出来事に遭遇するのは嫌いじゃない。
とりあえず隣りの女の子に話しかけてみよう「あの俺って君が来る前からここにいた?」
彼女は振り返りきょとんとした顔をして「私が来る前からいましたよ」と言った。瞳がきらきらしてる、綺麗な子だ。
「ちなみに今日は何日で、今何時かわかる?」
彼女は腕時計を見て、「9月4日、午後11時ですよ」そう言って口元だけ微笑んだ。何とも魅力的な表情をする。
席を立って入口の扉を開けた。予想通り一面の緑に一本道が通ってる。とりあえず財布にいくら残ってるか見たら数万入ってたので、戻す。
席に戻り、グラスに残ってる酒を飲もうとしたが、ストップして、バーテンにお冷をもらい半分くらい飲む。
彼女がバッグを取り出したので、慌てて「ちょっと聞きたいんだけど、この辺てどこか泊まれる所ある?」
彼女は動きを止め振り返りまた口元だけ微笑み「あなた迷子なの?……というのは冗談だけど、出来過ぎた偶然なんだけど、うち民宿やってるのよ。ここから車で20分くらいの所だけど……私の車で来る?」
「それは助かる是非泊まらせて下さい」
人生は一歩先に何が待ってるかわからない。美女と民宿……最高じゃん。
バーテンに代金を支払おうと思ったら、「お連れの方に頂いております」と言われる。連れ?誰だろう?
外に出て、看板を見るとバー・リーオンと出てる。
目の前は真っ暗闇。
予想外の俺の夏はまだ終わっていなかった……。
2014(H26)5/23(金)・2018(H30)5/15(火)
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