第34回僕らは旅人

8月21日水曜日


気付いたら朝7時になってた。


テレビの画面からはニュース番組が流れてる。


岸森は朝飯を作っているようだ。


「お前こんなに外泊して大丈夫なのか?」


「平気、平気、パパもママもしょっちゅう外泊してるし」


岸森の家庭の事情はよくわからんが……。


2人でトーストとポタージュとレタスのサラダを食べる。


「どうしようかな?私クラブ活動してないから図書館でも寄るか」


「でも私服だから一度家戻んないとだめだろ?」


「大丈夫制服持ってきてる」


「用意周到だな」


岸森は得意げに微笑む。すっぴんでこの美しさ、若さの特権か?




一方2年A組の学級委員北島守は大失敗を犯した。


なんと野上景子をお茶に誘って断られる。


「畜生!お茶するくらいが何だっつーの!」


野上にベタ惚れの北島としてはかなりの行動力だが、玉砕だった。


やっぱ俺はアカンのか?


本城の存在がうとましい。


しかし所詮は逆恨みだもんな、男らしくないよな。


なんでこんな悶々としてしまうのか?


また走るぞー!と言っても外はまだ明るい。暗くならんとな、なんか走る気にならん


タイムー!こんなに愛してるのに……あまりに残酷だぜー!



8月23日金曜日


今日もベータは出勤の日朝7時に起きて卵とベーコンを炒める。


俺もビョーキだよな17歳と恋に落ちるなんて……。


ほんとうに恋に落ちてんのかね?


でも岸森は年齢を超越してるくらい魅力的だ。


それよりベーヤンが夏休み明けには帰国するらしい。


まったくヨーロッパで挙式とは粋な野郎だ。


ベーヤンがどれだけ成長してるか見ものですな。



夕方4時岸森から電話が来る。


今日もマックにいるらしい。勉強を教えてほしいみたいだ。


5時頃家に来る様にメールする。


岸森は5時15分前には来る。


「先生夕食の目処立ってんの?」


「いや」


「今作ってあげるね」


岸森は意外と嫁さんタイプかもしれん。


こんな平穏な日々、まあ今更生き方変えられん。


岸森と一緒になるのもまだ先、ダメかもしれんし。


俺も自分の身の丈を考えるべきだろう。絶対。


2013(H25)10/21(月)・2018(H30)5/6(日)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る