第6回ハイパー・エスケープ

翌日天国口高校へ出勤すると職員室が騒ついてる。


何か起こったんだなとベータは察知する。


「本城先生ちょっといいですか?」


担任の汐留先生に呼び止められる。


「どうしたんですか?」


「ええ……なんか早乙女先生と坂裏先生が消えちゃったんです」


「へ?」


「昨日二人から別々に学校に連絡があってしばらく休みたいということです」


「でもそれって消えた事になるんですか?」


汐留先生は眉間に指を添え。


「生徒が二人が一緒に新幹線に乗る所を目撃してるんです」


ベーヤンめ、だからあいつは、まったくしょうがない。


「その事はもう学校中に知れ渡ってるんですか?」


「はい、おそらく」


汐留先生は美貌を陰らせる。


「わかりました、今日は授業どころじゃないですね」


「はあ、私も対応に困ってます」


益々美貌は影を増し、逆に美人度が上がってる。


なーんて汐留先生の美貌に見とれてるどころじゃない。


朝からベーヤンと早乙女先生の騒ぎで職員室はてんてこ舞い。


おまけに生徒だけじゃなくPTAのばばあども乗り込んできやがる。


PTAのばばあどものブサイクぶりはこの高校ではより助長される。


目を覆いたくなるほどの醜悪ぶり……俺もひどい事思ってるねえ……。


もう二時限始まる時間だよな、まあ美少女たちでも拝んで目の保養してこよっと。


教室に入ると、美少女たちは半分くらいゾロゾロと俺に近づいてくる。


「みんな、落ち着いて!」


学級委員の野上薫子だ、この子も清楚な美少女である。


よく通る声で一喝してくれた、さすがだね。


「先生、状況はどうなんですか?」


男子の学級委員北島守が聞いてくる。


「うーん……正直わからん」


教室中ざわつく。


「まあ、みんな聞いてくれ、坂裏先生と早乙女先生の事は知ってるよな?今PTAが乗り込んでくるほどの騒ぎになってる。とりあえず今日はフリータイムだ。PSPやろうが、任天堂DSやろうが、勉強しようがまったく君らの自由。ただしスマホ持ってるやつはもっと情報網を広げてくれ、知っての通り坂裏は俺の親友だ。早乙女先生とどうなってるのかは俺すら把握してない。学級委員の野上と北島はちょっと来てくれ」


教室は歓声に包まれて、机に飛び乗ってダンスするやつや、ゲームに熱中するやつ、スマホやI Padで何かを調べ始めるやつ色々だ。


「なあ二人はこの状況どう見る?」


少し考えて野上がよく通る声で言う


「はっきり言って迷惑です」


「僕も野上と同意見です」


北島はなかなかのイケメンで、毅然たる態度を取ってる。


まさか、浅利の後この美少女野上が第二の刺客になるなんてこの時は予想もしてない。


2013(H25)7/21(日)・2018(H30)5/2(水)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る