第4回夕焼けの天国口高校
浅利は何も言わず、黙って俺についてくる。
「浅利はここから家近いのか?」
浅利はまた口元に笑みを浮かべる。
「野暮なこと聞かないのセンセ」
何がどう野暮なのかわからんが、面倒だから聞かない。
バス停留所に着いて、浅利は隣りに来る。
「私たち、他人から見てどうなんだろう」
浅利はそう言ってまた微笑む。
どうしたもんか……。
浅利は眉が太く目もぱっちりしてて、今17歳のはずだが、20歳でも通用する。
彼女はバスの中でなんかやけに落ち着いてる。怖い。
バスを降りる。当然のごとく彼女も降りる。
「俺の家までついてくるのか?」
「うん」
「浅利さあ、それ普通じゃないだろ」
「私って魅力ないですか?」
こらあかん、ベーヤンを呼ばんと、それとも逃げるか?
「あ!浅利、後ろに蜂が来てるぞ!」
浅利は悲鳴を上げて屈みこむ。
その隙に全速力で逃げる。
もういいだろうと思い汗を拭いてると聞き覚えのある靴音。
あわてて木材の中に隠れる。
やはり浅利だ!そういやあいつ陸上部だったっけ?油断した。
浅利はキビキビと目を輝かせてる。ターミネーターみたいな奴だ、恐ろしい。
とりあえずベーヤンに携帯で連絡を取る。
「お前そんな事で電話したのか?」
「そんな事って挨拶だな?」
「俺は今早乙女先生の事で目一杯なの!切るぞ」
「お前早乙女先生に惚れたの?」
ベーヤンはそれには答えず、電話を切った。
とりあえずあの女ターミネーターから逃れんと。
逃げても明日また会うけど。
2013(H25)7/14(日)・2018(H30)4/29(日)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます