12話 ガールズトーク?
俺は、いや、私はマルスの彼女として振舞っているうちに、考え方が女の子のそれに染まりつつある。でも、まだ男としての部分も残ってはいるんですよね。
そこにまさかのお風呂イベント。これは、メンタルがやばいやつじゃない?
「ユイさん、縮こまってどうしたんですか?一緒に行きましょうよ。」
「そうそう、美人さんなんだし恥ずかしがることないって。」
そう言うのはマルスの妹さんのマリーさんとその友人、アリアさん。
こういうNPCの女性陣がいる場だから恥ずかしいんだよぉ...。一方、
「ユイちゃん、一緒に入りましょ!身体洗ったりしていい?」
そんな事を言ってくるのはリズさんこと一条さん。まあ身体を洗ってくれるのは別にいいんだけど、一条さん俺の正体知ってるよね?なんで、こんなに今日は積極的なんだろう?
結局観念した俺は入浴し、素直に洗われているわけですが、いやー、眼福ですねー。
見渡す限り可愛い女の子たちの素肌。おっぱいも見放題……。
……モザイクがかかっていることを別にすれば。
そうだよね、このゲーム全年齢対象だもんね、表示できないよね。
まあ女の子の身体なのをいいことにジロジロ見るのも悪いから別にいいんだけど……。
いずれマルスとの夜の運動会でマルスのバットが規制に引っ掛かると思うんだけど、モザイクかかった状態で上手にお手入れできるかな?
「なに赤くなっちゃってんの?かわいいなぁ。」
「ふぁあ!」
「いやー、でも、改めてみると、ユイさんにリズさん、ユウさんもほんとお綺麗ですね。やっぱり来訪者の人ってみんなこんな感じなのかな?」
「いえいえ、私なんか大したことないですよ。ユイちゃんはほんとかわいいけど。」
「え、え、えっと……。」
「いやほんとどうやったらここまでかわいいアバターつくれるん?課金したん?」
「課金はしてないよ!まあ外部プラグイン使って3Dモデリングしたんだけど……。」
「なにユイちゃんそんな手の込んだことしてたんか……。真似できんわ。」
「っていうかユウさんはリアルがまあまあ美人なんだからリアルデータ読み込んでアバターにすればよかったんじゃない?」
「まあな。でも、やっぱ顔ばれ怖いねん。」
「あの、さっきからなんのお話を……。」
「えっと、プレイヤーの美容の話かな?」
「そうやね。いわゆるガールズトークってやつやね。」
「まぁ間違ってはないですけど……。ユイちゃん、そう言い張るのはちょっと無理がない?」
そうやってガールズトーク(笑)を繰り広げつつ風呂から上がると、折角だからということでジャンさんがごちそうしてくれることになった。
「こっちでご飯食べたの初めてだけど、こりゃうまいわ!」
「でしょ、ケイタ!ジャンさんの料理は本当に一級品なんだから!」
「流石は熟練度2500やな。食感匂い味全てバランスがいいっつうかもう出汁もいい感じに効いてるねんなー。」
「まあ、うまかろう。俺の最近で一番の自信作だからな。今度の夏祭りにもこれを出店しようと思ってる。」
「夏祭り、ですの?」
「ああ、毎回この辺じゃ土地神イリス様の生誕祭がおこなわれているんだ。今年は復興のシンボルっていう意味合いもあるから、俺も腕によりをかけないとな!」
「ああ、ジャンの言う通りだ。売上の一部が復興予算にも回されるからな。この祭りが盛り上がると大分助かるんだよな。」
「面白そうですのー!マルスさん、ジャンさん、それ私達も参加できますのん?」
「お、愛奈、祭りとか興味あるん?」
「イベントは基本大好きですのー!」
「ああ、もちろん来訪者でも来場自由さ。そうだ、いっそのこと君たちで出店してくれたら繁盛しそうだな。来訪者の出店とか物珍しさでにぎわいそう!」
「マルス、それいいアイディアだね!私も協力するよ!ねえみんな、もしよかったら協力してみない?」
「いいね。ちょっとこういうの好きそうなフレンドとか誘ってみるわ。俺の攻略ブログは読者もそこそこいるし、ちょっと宣伝すれば来訪者の人もいっぱい来るかも。」
「さすが人脈が広いケイタやね。」
「じゃあ、みんなで参加しよう!」
こうしてプレイヤー一行の夏祭りへの参加が決まったのであった。
「で、何やるよ?」
「無難に食べ物屋でもやるん?」
「まあ私が一応料理スキル持ってはいるから、それも可能だね。本番までにみっちりジャンさんに指導してもらおっかな。」
「なら、私たちの世界の食べ物を再現するのはどうですか?和食とか、スナック菓子とか、こっちにない食べ物も多いんじゃないですか?」
「リズさんいいね!それ採用だな!」
「店構えも何か工夫したいよね。」
「折角なら他のプレイヤーの人にもアイディア募集しようぜ。」
「いいね!」
その夜、掲示板が賑わいを見せることになった。
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