銀のムテ人 =第四幕・上=
わたなべ りえ
今までのおはなし
銀のムテ人は滅びゆく長命魔族。
霊山で祈りを捧げてムテを守り続ける最高神官の貴重な血を残すため、巫女として選ばれたエリザは、仕事をこなすのも子供を作るのも難しい未熟な少女だった。
それもそのはず、彼女は最高神官サリサ・メルの「好きだから」というわがままで選ばれてしまったのだから。
二人は、密かに愛を育んでゆくが、所詮は制度で結ばれている・いつかは永遠の別れが待っている……という現実があった。
が、徐々に少年・少女から大人へと変わっていく間に、身も心も結ばれてゆく喜びを知り、やがて二人の初恋は苦悩と葛藤を伴うことに。
子供を成せなかったエリザは、霊山をおり、祈り所の暗闇に閉じ込められてしまう。それも、サリサの「手放したくない」というわがままからだった。
エリザは、サリサへの愛を信じて、辛い生活に耐えるが、祈りの儀式で他の巫女姫と一緒のサリサ、そして、サリサの子供を抱く癒しの巫女の姿にショックを受けてしまう。
そして、自らの心を保つために、「愛し合っていた」ということを忘れるよう、無意識に暗示をかけてしまった。
やがて、エリザは妊娠。
と同時に、それは二人の永遠の別れを意味するものだが、サリサはエリザの幸せを祈ろうと、せめて二人の時間を大事にしようと思うのだった。
ところが、サリサとエリザに嫉妬する巫女姫サラの毒により、エリザは流産してしまい、代わりに瀕死の状態で運び込まれた赤子を自分の子供と思い込み、育てることに。
この赤子は、ウーレン第一皇子でありながら、魔を持たない人間として生まれてしまったいわくつきの子供だった。
サリサは、この赤子を保護するため、エリザを霊山に留め、十五歳になるまで育てるつもりだった。
が、霊山の気の乱れを心配する仕え人たちの訴え、サラのように新しい巫女姫を妬むだろう自分の姿、そして、「ムテのため」「最高神官のため」がんばってきた目標を失って、エリザは悩み苦しむ。
そして、故郷に戻り、癒しの巫女として働く夢を叶えるために、霊山を離れる決意をするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます