そして俺が彼女と別れないことを決めた理由
中田祐三
プロローグ
ピンポーン、ピンポーン
インターホンが鳴っている。かれこれ十分程だ。
時刻は午前一時で、朝一番の講義に出席するため布団に入ったのが午後十一時。
……やっと寝ついたというのに。
布団の中で舌打ちし、諦めて俺は立ち上がる。
眠気と怒りで頭をふらつかせながら玄関のチェーンを外し扉を開けると、
「えへへ、こんばんわ~」
ぼんやりとした灯りの下でも酔っていることがわかるほど赤い顔をした女がへたりこんでいる。
少し舌たらずな台詞とアルコールの香りがフワリと部屋の中に入ってきた。
「……なんか用か、白音」
出来るだけ憮然と返す。
しかし酒で脳味噌が半分働いていないのか、彼女は「う~ん?」と首を傾げた後に、
「家の鍵を無くしたので泊めてください!」
満面の笑みで言い放つ。
とりあえず頭に手刀を叩きこんでおく。
「う~、痛いです」
叩かれた頭を抑えながら上目遣いをする白音、促すように彼女の手を取って家の中へと招き入れた。
そう、俺の恋人でもある白音を……。
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