夢に溺れる




繰り返す死のイメージに、何度も何度も溺れる。

私のものではないかもしれない。

私の記憶と同じように何度も何度も繰り返すから、境界線が分からなくなる。

今、落ちたのは私の記憶?


次は何だ。

手に馴染んだグリップの感触。

引き金に、人差し指。

痕はもう、引き絞るだけ。

起こした撃鉄は、下げられない。


次は何だ。

光を跳ね返す金属の冷たい光。

楕円形の柄を握って、脇差をゆっくりと引き絞る感覚。

左腕でとらえた「何か」い、迷いなく突き立てる強い憎悪。

その刃が、次に奪う命は。


自分の首に伸びる長い指。それは暖かく包み込んだ。

ゆっくりと力を込められて、私の酸素を奪う。

目の前に光が散って、周りが赤く染まり視界が明滅する。

乾いた涙の痕を追うように流れだした、何度目かの涙の流れる感覚すらも鮮明に。




眠りから覚める。

今、目覚めたのは誰?

今、生きているのは誰?

殺したのは死んだのは、夢?

何度も何度も繰り返す。

生と死を繰り返す。

私とも他人とも思えない、リセットを繰り返す。


同じ重さで繰り返すイメージにやすやすと溺れて、私は目を覚ました。

見慣れた環境に胸を撫でおろす。

ただ眠っていただけだと分かっていても今まで私を苛んでいたイメージの一つ一つが生々しくて、居心地の悪さに嫌気がさす。

ああ、目覚めなければよかった。

そう思うと同時に、重い瞼と強い倦怠感にそういえば生きていたんだったと確認する。

呼吸するたびにひりつく喉とこわばっていた背中に、生を実感する。


窓の外には、いつもの朝。

零れる陽光にため息が出た。

まだ震えている指先を伸ばしてメガネをかけた。



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