僕は猪突猛進の彼女に改造される

ギグス0211

第1話アルバム

・・・札幌某所・・・


僕は、仕事帰りにネオン街の光を浴びながら歩いていた。


色んな酒場などの誘惑もいつもなら負けてしまうところだか、この日は『ある記念日』の為に真っ直ぐ帰路を歩く。


「いらっしゃい!お兄さんどう?いい子揃ってますよ!」


そんな客引きの声も無視をして、ただただ、自宅へと足を運んでいた。僕の右手には彼女も好きな、日本酒がビニール袋に入っている。

普段より足取りが軽く、30分ほど歩いた。


一軒家の自宅に着き、玄関前に立つとドアの鍵穴に鍵を刺す。

いつもなら簡単に開けられるドアノブだが、この日は緊張からか、鉛のように重たく感じた。


僕は「ふぅ…今日であの日の『約束』から10年…長かったような、短かったような…」


そう独り言を呟き、10年間を振り返りながらドアを開けた。


そこは真っ暗な玄関だった。


(あれ?誰もいないのか…)


そう思い、中に入って、玄関の明かりを点ける。


僕はリビングに行って「ただいま」と言うが、返答を期待するも虚しく『誰からの』返事もなかった。


僕は呆れた顔を浮かべ


「まったく、この日を忘れて出かけたなんて…そんな事ないよな…」と一人で呟いた。


何気なくテーブルを見てみると、そこには懐かしい中学時代の卒業アルバムが置かれていた。


(何故ここに?…あぁ、そうか…)


思い当たる節があり、イスに腰掛ける。


そして、アルバムを手に取り持ち上げると、便箋が置かれていた。


「手紙?どれどれ…」そう言うと僕は便箋を開いた。


僕は中身を確認する…


「そっか…わかった。」僕は感傷と懐かしさが込み上げる。


卒業アルバムの中を開き、思い出に浸ることにした。



あの日から10年…僕も23歳になっていた。

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