連行

税を上げて数日後に、本国の方からの刺客がやってきた。


「今日はどのようなご用件ですか?」


男はそう聞きながらも、心の中にとあるものを抱えているので、それなのではないかと不安に感じていた。


(まさかあれがばれたのか?

いやしかし、もしもばれていたのなら、前回の引き上げの時に来ているはずだ。)


彼の場合、前回の引き上げに関してはばれていないと思っている。


ならば、今回の場合は、ただただ久しぶりに関しに来たら、税が上がっていることに気が付いてきたのか?と思った。


「まぁわかっていると思うが、今回私が本国から来た理由は税の引き上げの話だ。」


「や、やはり気づかれましたか。」


「逆に気づかれないとでも思っていたのか?」


本国から派遣された人は口調からきれていることが分かる。


「いえ…しかし、税を上げないとやっていけなくて…」


「そうか。だとしても、報告ぐらいはしてよかったのではないか?

それに、貴様の言葉には嘘が混じっているな?」


「い、いえ。私は本当のことを言っています。」


「そうだな。しかし、嘘のことも話している。

それは、本人であるお前が一番知っているはずだ。

ちなみに言っておくが、2回ともこちらは把握している。」


これによって、最初の引き上げもばれていることが分かった。


「し、しかし、それなら引き上げた理由に関しても知っているでしょう?」


「そうだな。本国の方も、一回目に関してはしょうがないということで、見逃したが二回目の目的もこちらは把握している。」


2回目に関しては、内部の者にしか理由を教えていない。


つまり内部にスパイがいるということだ。


(し、しかし、内部の者は王国が崩壊する前からの物しかいない。

つまり、スパイではなく、裏切り者か!)


「裏切り者なんか考えるなよ?

我々からすればお前んのほうが裏切り者だ。」


(そうだ。今はこの現状を打開する方法を考えなくては。)


「ま、待ってくれ。」


しかし、本国からの刺客は全く聞かなかった。


「犯罪者を待ってやるほどこちらも暇ではないのだ。

今から連行する。」


そして、そのまま転移魔法の準備hを始めた。


(こうなったらやるしかないのか?

私も貴族の出身だ。それなりに訓練は積んでいる。)


それに、この部屋には剣も置かれている。


十分人間一人を牽制しながら逃げられるくらいの時間は稼げるはずだ。


(やるか。)


そして、魔法の準備をしている背中から切りかかった。


しかし…


「ぐふッ!」


「背後から狙うとは…まさかここまで愚かだったとは。」


転移魔法が使える時点で分かるかもしれないが、刺客は軍人出身だ。


「さて、罪が一つ増えたな。」


そういいながら、転移魔法で移動するのだった。


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