移動方法

数日後、島の開発が完成したことを聞いたアインは、島まで向かった。


「出来はどうだ?」


アインが、現場監督をしていた幹部に聞いてみると、


「アイン様、いらしたのですか。

まぁ、それなりによく完成したと思いますね。」


「そうか。

これから先、まだ開催までは少し時間があるし、これから先は、この島に人を呼び込むことが仕事だな。」


島ということで、現状は、船でしか移動手段がない。


そのせいで、島というのは比較的人が集まりにくいのだ。


(転移魔法を使えばいいか?)


実際、島が不人気な理由は、移動手段が限られていて、しかも、船酔いなんかをする人にとっては、苦痛でしかない。


(まぁ、そこに関しては、城の方で相談するか。)


転移魔法というのは使い手が少ないので、一般市民が使えるわけがない。


つまり、転移魔法を使える人を派遣するしかないのだが、転移魔法というのは、大量の魔力を使う。


それこそ、アインの周りの人だったら、大丈夫だが、普通の魔術師にとっては、転移魔法の発動というのは、1日一回が限界なのだ。


「それじゃあ、僕はこの島にできるだけ人を呼び込めるように努力するよ。」


「わかりました。

アイン様の計画が成功することを願っております。」


そう送られて、アインは、一回、場内に帰ってきた。


「さて…どうするか…」


「何かあったのですか?」


場内の執務室に帰ると、エリが待っていた。


「ああ、島に人を送りたいのだが、一番いいのは、転移魔法だけど、転移魔法を使える人の少なさと、使用魔力量的にどうしようか悩んでいるんだよね。」


「そうですね。それに、転移酔いというのも、たまに起きるようですし。」


転移酔いというのは、転移魔法で、移動したときに、転移時の反動で寄ってしまうことだ。


これに関しては、発生する条件が、基本的に、転移魔法を使う魔力量に達していないのに、転移魔法を使ってしまい、魔力欠陥なってしまうからだ。


しかし、誰かに運んでもらう場合でも、魔力量が圧倒的に少ないと、転移魔法で運ばれるだけでも、少しだけ魔力が吸われるのだが、その少しの魔力を吸われるだけで、酔ってしまうのだ。


「そうだな…転移魔法は結構問題が多いな。」


「まぁ、さっきは問題点を言いましたが、それでもやっぱり、他の方法よりは、メリットが大きいですけどね。」


「まぁ、この際、転移酔いに関しては、我慢するしかないとして、転移魔法の発動方法に関してはは、どうしようか。」


「まぁ、仕事にするのが一番いいのでは?」


「魔法を発動するだけの仕事か。」


「まぁ、作るしかありませんね。」


「魔力の問題に関しては、魔力タンクを用意してあげるしかないな。」


この世の杖の中には、使用者に魔力を吸収させるものがある。


それで、アインが作った魔力タンクに触れてもらえば使用者の体の中には、結構な量の魔力が入るようになるのだ。


しかし、魔力量が、最大と、ほぼ最小を行き来するので、結構大変なものになる。


「まぁ、給料をよくして集めるしかないな。」


こうして、大体の流れは決まったのだった。

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